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ep.8 秘密のダンス★ナイト①

  オレが城下で襲われた事件から数日後、怪我の具合も、だいぶ良くなったということで。その事について、みんな揃って宮殿へと報告に行くこととなったんだけども…。 オレは今、ムダに目立つ美形騎士軍団をゾロゾロと引き連れ…参上していた。 一応オレが住んでる屋敷や大神殿も、宮殿の敷地内に建ってるんだけれど。 その敷地面積がそりゃもうハンパないわけで。すぐお隣りの城までお出かけ…なんて距離では済まされない。 なので宮殿前までは基本、馬車での移動が主となり。門を潜った先から宮殿の入口までは、セキュリティ上の理由とかで馬車を降りて歩かなくてはならず。 …で、今まさに長々と歩いてるとこなんだが。 「あ~…マジかったりいなぁ~。」 「ふふっ、ジーナは宮殿に来るの苦手だもんね~。」 ジーナの言う通り、宮殿というのは緊張するというか、堅苦しいというか。入口に着いた時点で、どっと疲れがくるわけで。 目的は単純に、女王様に会うことなんだけど…。 それまでに手続きだったり待ち時間の長さだったり。広い宮殿内を進むだけでも、結構大変なんだよね。 それに、ただでさえ目立つ面々が揃ってるもんだから。宮殿までの道程を歩いてるだけで、何処からか湧いて出た貴婦人だか、ご令嬢様だかがわらわらわらわら… ルーファス達を振り返っては、キャッキャウフフと頬を染め…ギラギラと瞳を輝かせていた。 まあ、オレもこの世界じゃ嫌でも目立つらしいから。髪は一応ターバンを巻いたり、フードなんかで隠したりはしていても…。 骨格はこの世界には不釣り合いな、日本人のそれで。こっちじゃ珍しい顔立ちだって言われたし、オレが神子なのは自然と知られちゃってるもんだから。髪だけ隠したところで、無意味というか…。 てか守護騎士が護衛してる時点でもう、バレバレなんだけどもね! …と言ってもオレに集まる視線は、ルーファス達のとは全くの別物で。ウンザリするぐらいの、好奇一色…って感じしかなかった。 神殿なんかに勤めている、神子関係の役職の人達は。基本的に『神子様救世主様』…って感じで、敬い崇めてくれるが…。 異世界の人間、奇跡の力を持つ存在というのは、時に畏怖(いふ)の対象にもなり得るのか。 貴族や宮殿の高官ぽい人達が向ける、あの舐め回すような視線というのは…。その対象にされた身としては正直、気持ちの良いものではなかった。 それでも、ルーファス達が必ずオレを庇うように歩いてくれてたから。幾分マシではあったけど…。 毎回来る度に、こんな扱いを受けるんだなってなると。ちょっと…いやかなり、気が滅入るんだよなぁ…。 「でも、陛下の人柄は温厚で接し易いよねぇ。かなりの遣り手なのに、あの聡明さは相当な魅力だと思うよ。」 「アシュレイ殿、失言ですよ。」 そう意見するのはアシュレイで。 案の定、ヴィンセントにぴしゃりと指摘される。 確かに此処は宮殿内なんだし。アシュレイの今の発言は、誰かに聞かれたらマズイんじゃなかろうか…?

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