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③
「わ、笑うなよっ~!」
「だってよ、セツが女王様にフラれちまったって…ぶははははッ!」
全て洗いざらい────…とは言っても、女王様と瓜二つなアリサちゃんと付き合ってたこと。そしてこの世界に来る前にフラれてしまったという話ぐらい、なんだけど。
みんなに…てか主にルーファスからメチャクチャ食い気味に詰め寄られ…仕方なく白状すれば。
ジーナは突然吹き出して、笑い転げてしまった。アシュレイやヴィンセントに至っては、口を押さえ笑いを堪えてるし。
ぐぬぬ…みんなしてからかいやがって~!
「……………」
ただ、ルーファスだけは違うようで。
話し終わった途端、ひとり複雑な表情を浮かべ黙り込んでしまったんだけど。
一体どうしちゃったんだろ?
すんごく渋い顔して─────…って、まさか…
(ルーファスは、女王様のこと…)
ふと頭を過った考えを、いやいやと必死で否定する。
ああ、でも…あり得ない話じゃないよな。
女王様は美人だし、すっごく素敵な方だから、さ…
「ごめ、ルー…」
「セツ…?」
きっとオレ如き一般人が、別人とはいえ…恐れ多くもアリシア様と同じ顔の人と付き合ってました、なんて言っちゃったもんだから。
気を悪くしたんだなって。
その事実を前に。オレは複雑な感情を抱え、思わず泣きそうになったんだけど…。
「いきなり何を謝って…」
「だからっ…!るっ…ルーは、女王様のことが、」
“好き”なんだろって、堪らず不安を口に出したら。
『……………え?』
その場にいた全員が一瞬でピシリと凍りつき、固まってしまった。
暫し沈黙が続いて─────
「そ…それは残酷だねぇ、セツ。」
「はぁ…全く、鈍いにも程がありますね。」
どうしてだかアシュレイに苦笑され、彼はルーファスの肩をぽんっと慰めるよう叩き。
ヴィンセントに関しては、眼鏡を直すふりをして、実は笑いを堪えるのに必死になっていたという。
え、一体なんなの…?
「…オレ、なんか変なこと言った?」
オロオロしながら年少組に問えば、ふたりは困ったよう顔を見合せて。
「えと、なんていうか…」
「ホント自覚ねぇんだもんなぁ、セツは…」
と、曖昧な反応。
仕方なくルーファスを振り返ると…。
「私は…────断じて陛下に恋心などっ、抱いてはいない!」
…と、それはものすごい形相で以て、全力否定されちゃったもんだから。
えっと…てことは、あれかな?
ルーファスは忠義に厚い騎士だろうから。自国の女王様を侮辱されたみたいに、捉えちゃったのかもしれないな。
そっかそっか…。
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