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「まあまあルーファス、考えてもみなよ?」 まだ少し不機嫌そうに見えるルーファスの肩を、更にポムポムとあやすアシュレイは。にっこりと笑みを湛えると、オレの方へと近づいてくる。 すると… 「セツがフラれたばかり、と言う事はだよ?即ち今は恋人がいないという事だろう?更には失恋したばかりで傷心し、寂しい身の上というわけだ…ならば────」 むしろ、好機じゃないのかい?…と。 悪戯にウインクしては、意味不明なことを言い始め。更には、 「だからね、セツ?もし人肌が恋しくなったらなら、いつでも僕のところにおいで?」 キミなら大歓迎だよと告げながら、 「んんッ……!」 あろうことか自身の唇に充てた指を、間接キスよろしく…オレのソレへぷにっと押しあててきたのであった。 そしてもれなくフリーズするオレ。 なんてヤツだ、こんなキザなことっ…。 アシュレイみたく美男子(イケメン)じゃなかったら、絶対許されないヤツだぞ…コレ。 「アシュ殿…!!」 「あ~あ~また始まったよ…。」 「ルーも相当な苦労人だよねぇ。」 アシュレイがオレに恒例のセクハラをし、ルーファスが憤慨する…といった、お約束な遣り取りが始まり。年少組は呆れたよう顔を見合せると、苦笑を浮かべ始めて。 ヴィンセントはというと…それはそれは面倒臭いなとでも云わんばかりの、盛大なる溜め息を吐き出し、 「はいはい、無駄話はそのぐらいにして…とっとと行きますよ。」 引率の先生みたくパンパンと手を打ってその場をブッた切ると。みんな促して、ひとり先へと歩き始めてしまった。 全員ガヤガヤしながらも、仕方なくそれに続く。 「…ルー?」 謁見までの道すがら、じーっとオレの顔を凝視するルーファスに、なんだ?と疑問符を浮かべると。彼はハッと我に返り「なんでもない…」と、歯切れ悪く答える。 そのくせ、また横目でチラチラ見て来るもんだから…。気になるオレは、もう一度声を掛けようとしたんだけど───── 「る───」 『ルーファス様~!』 オレの声に被さって、より高らかな声音が同じ名を紡いで。 弾かれ振り返れば…そこには煌びやかなドレスに身を包んだ、ご令嬢様方の姿が目に止まる。 そうしてルーファスもオレに釣られて、そちらに視線を送ってしまえば…。 彼女らはウキウキとしながら、もれなく此方へと近付いて来るのであった。

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