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⑤
「ルーファス様、ごきげんよう。」
「相も変わらず見目麗しく、お素敵ですわね~。」
ルーファスが仕方なく挨拶を返した途端、目まぐるしく始まったご令嬢様方の猛追。
気付けばそれは、先を行くヴィンセント達にもわらわらと集まっており…。
いつもなら遠巻きに見てることが多かったのに。
フェレスティナでも屈指の精鋭イケメン守護騎士軍団が、宮殿前の道端で立ち話してるのを…今が好機と云わんばかりに。我先にと、声を掛けてきちゃったみたいだ。
…てかルーファスのとこ、なんか異様に多くないか?
みんなの憧れ、麗しの守護騎士達を前にして。
おしとやかに努めながらも、本音は鼻息荒くアピール合戦に奔走するお嬢様方。
オレになど端から眼中に無いので…。
殺到する彼女らに、気付けばあれよあれよと蚊帳の外へと追いやられてしまい───…
…なんか、面白くない。
や、この人達の気持ちは充分解るよ?
ルーファスのこと…好きになってしまったオレとしては、謂わば“ライバル”なわけだし。
…とはいっても性別女子な分、男のオレなんかより断然有利だろ?それにみんな気品があって、美人な女の子ばっかだから。
そりゃあ…落ち着かないって、なるでしょうよ。
そんなわけで、道の隅っこで肩身も狭く。
女性達に囲まれるルーファスを目にモヤモヤしながら佇んでいると…。
オレの様子に気付いたルーファスが、すかさず口を開いた。
「すまないが、急ぎ陛下のもとへ参上せねばならないので…」
「まあ、そうでしたのね!」
ルーファスの台詞に今度はオレへと視線が集まる。
…元々″オレ″に対する好奇心もあったんだろう。
ご令嬢達は、態とらしく驚きながらも、まるで品定めするかのような視線を。容赦なくオレへと浴びせ掛けてくる。
そのなんとも無遠慮な好奇の眼差しに。
耐え切れずオレは、ルーファスの背後へいそいそと身を隠した。
…と、ルーファスは軽く会釈をし、オレの腕を取ると。自然な流れで以て、その場を後にしようとしたのだけど…
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