68 / 423

「ルーファス様、ごきげんよう。」 「相も変わらず見目麗しく、お素敵ですわね~。」 ルーファスが仕方なく挨拶を返した途端、目まぐるしく始まったご令嬢様方の猛追。 気付けばそれは、先を行くヴィンセント達にもわらわらと集まっており…。 いつもなら遠巻きに見てることが多かったのに。 フェレスティナでも屈指の精鋭イケメン守護騎士軍団が、宮殿前の道端で立ち話してるのを…今が好機と云わんばかりに。我先にと、声を掛けてきちゃったみたいだ。 …てかルーファスのとこ、なんか異様に多くないか? みんなの憧れ、麗しの守護騎士達を前にして。 おしとやかに努めながらも、本音は鼻息荒くアピール合戦に奔走するお嬢様方。 オレになど端から眼中に無いので…。 殺到する彼女らに、気付けばあれよあれよと蚊帳の外へと追いやられてしまい───… …なんか、面白くない。 や、この人達の気持ちは充分解るよ? ルーファスのこと…好きになってしまったオレとしては、謂わば“ライバル”なわけだし。 …とはいっても性別女子な分、男のオレなんかより断然有利だろ?それにみんな気品があって、美人な女の子ばっかだから。 そりゃあ…落ち着かないって、なるでしょうよ。 そんなわけで、道の隅っこで肩身も狭く。 女性達に囲まれるルーファスを目にモヤモヤしながら佇んでいると…。 オレの様子に気付いたルーファスが、すかさず口を開いた。 「すまないが、急ぎ陛下のもとへ参上せねばならないので…」 「まあ、そうでしたのね!」 ルーファスの台詞に今度はオレへと視線が集まる。 …元々″オレ″に対する好奇心もあったんだろう。 ご令嬢達は、態とらしく驚きながらも、まるで品定めするかのような視線を。容赦なくオレへと浴びせ掛けてくる。 そのなんとも無遠慮な好奇の眼差しに。 耐え切れずオレは、ルーファスの背後へいそいそと身を隠した。 …と、ルーファスは軽く会釈をし、オレの腕を取ると。自然な流れで以て、その場を後にしようとしたのだけど…

ともだちにシェアしよう!