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⑩
「舞踏会、かぁ…。」
夕食と風呂を済ませ、ぼすんと自室のベッドでゴロゴロしながら宮殿でのことを思い返す。
名目上の謁見理由は置き去りに…突然開かれることとなったダンスパーティー。蓋を開けてみれば、そこで着るという衣装合わせが、アリシア様にとっての本当の謁見理由だったみたいだが…。
ルーファス達に用意されてた試着用の衣装は、騎士の隊服を正装用にアレンジした、それはそれは男らしくも華やかなもので。
イケメンなルーファス達なら、きっと似合うだろうから。ちょっと見てみたい気はするのだけど…。
『ルーファス様も是非いらして下さいね!その際には、是非─────』
熱心にルーファスを誘っていた女の子達のことが、嫌に引っ掛かる。
(パーティーなんて行ったら…)
アイツなら絶対にハーレム状態だろうなあ…と。
その光景を想像しては、ひとり悶々とする。
アイツがモテるのは嫌でも解る。
…ていうか、あの顔であの性格。加えて武勇で名を馳せた武家貴族の中でも、高位な生まれのサラブレッドであり。騎士としても最強クラスの実力者ともなれば…。
そりゃ女の子なら、憧れて当然だろう。
(オレなんかが惚れちゃうくらいだし、さ…)
男とか性別の壁も難なく乗り越えちゃえるぐらい、気付いたらあっという間にベタ惚れしちゃってたんだもんなぁ。
しょーがないじゃんか…。あんな場面に出会したら、誰だってヤキモチくらい妬くってもんだよね。
「あ~あ~、やだやだっ!」
己 が女々しさに、なんだかむず痒くなり。ベッド上でひとり、のたうち回るオレ。
いつからこんな乙女思考になっちゃったんだか…。
昔は何事にも淡白だとか、熱意が足りないだとか散々言われてたのに。ルーファスに出会ってからのオレは、どんどんヘンになってしまう。
しかもそれが嫌かと問われたら、そうでもないから────…質 が悪い。
(だってだって、)
「ルーが、ス…なんだもん…」
「私がどうかしたのか?」
「んぎゃ────…ッ!!?」
何度目かの不意打ちに、声ならぬ悲鳴を上げたオレ。咄嗟に枕を盾にして起き上がれば…毎夜お馴染み、騎士様ルーファス様が首を傾げて優雅にご登場ときたもんで…
瞬間オレの心臓は、破裂しそうなぐらいドキドキと高鳴った。
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