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「お…ま、また勝手にっ…」 「すまない、返事は無かったが声が聞こえたので…な?」 許してくれと悪戯に笑うルーファスに。 惚れた弱味だ、無条件で許してしまうオレは、見事にハートのど真ん中をブチ抜かれ…撃沈する。 コイツのこういうとこ、絶対ワザとじゃねーかなって毎回思うんだけど…。 「そうむくれるな、セツ。」 別にっ怒ってるわけじゃないもんね! …むしろ、だ。なんだかんだと俺のことを気にかけては、こうして毎晩のように会いに来てくれるのが。密かに楽しみだったり、するんだし。 しかもコイツは… 「お前をあんな目に…合わせてしまったからな。出来るだけ傍にいて、護りたいのだ…。」 いつ何が起こるか判らないから、心配なのだと。 バツが悪そうに自嘲するもんだから…。 「いいよ、別に。気にしてないからさ…。」 お前は特別だから、不法侵入くらい許してやるよって…照れ隠しにもオレが告げれば。ルーファスは、とても嬉しそうに顔を綻ばせてくれた。 もう…そんなだから、敵わないんだよなぁ…。 「ところでセツは…どうするんだ?」 行くのか?と、曖昧な疑問を投げながら、隣りへと腰掛けるルーファス。 その問いの意味を理解したオレは、うーん…と渋い声で答える。 「行きたくは、ないかな…」 勿論、話題は舞踏会とやらのことである。 正直、オレの身近な人間と言えば…ルーファスを始め、残りの守護騎士達に教育係のヴィンセントだろ? あとは女王様にトリント大司教…それから、この屋敷で働いてるメイドさんや執事さん達くらいかな。 みんな身分とか、“神子”だからって気負うこともなく。元々一般人であるオレに合わせ、今では普通に接してくれるようになってたから…此処での暮らしも、随分と気楽になってきたんだけど。 宮殿の兵士や、たまに見かける如何にも偉そうな重臣や文官達。それに今日あった貴族のご令嬢だったりと… 建前上ではオレを神子と敬いながらも。 裏では化物でも見るかのように、異端視してんのが判ってしまうから…あまり良い気はしない。 まあ…世界を救う神子が世に現れる周期は。 少なくとも百年以上は、空いちゃうわけだから。大半の人間にとっては、伝説上のお伽噺みたいな存在であって。仕方ないとは思うけど。 元来オレは控えめな方で、目立つのは好きじゃないし。 どう見ても華の無い地味なオレが、だぞ? 自ら国主宰の公式パーティーで、しかもルーファス達を差し置いて主役扱いだなんて。無理があるとしか思えないんですけど…。

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