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「はぁ~───…」 「どうしたのセツ、なんだか元気ないね?」 いよいよ迎えてしまった、パーティー当日は。 教育係のヴィンセントが、準備だなんだで忙しなく宮殿へと駆り出されてしまったので…。 神子修行も今日は休みとなり。 それまでの時間は、こうして暇をもて余すことになったんだけど。 ルーファスやアシュレイも、今日の催し絡みで実家から呼び出しがあったもんだから。オレは残ったロロやジーナと一緒に、午前中はダラダラと退屈な時を過ごしてた。 まあ、年少組が外で修業がてらはしゃいでるのを、ただぼーっと眺めてるだけなんだけどね。 ここのところ色々あった所為か、毎日ホント目まぐるしくって。そういえば、こんな風にゆっくり考え耽る余裕も無かったなってさ…。 何より今日という日が、余りに憂鬱過ぎたもんだから。ロロが心配してくれるように…オレは一日中、こんな風に項垂れては、盛大な溜め息ばかりを漏らしていたのかもしれない。 (女装は絶対にしないからいいとして。問題はダンスパーティーだろ…) オレみたいな庶民がお城の舞踏会なんて、場違いにも程があるよね? だって社交ダンスとか、まずしたことないし。 あっても学生時代にフォークダンスくらいが関の山だろ?どっちかというと、リズム感だってない方なんだしさ…。 しかもだ、まだ魔法のひとつも使えないってのに。神子として大勢の前で紹介されちゃうとか、どんだけプレッシャーなんだって話だよな? どうせいつもみたく、化け物扱いされんのは目に見えてんだし。そうなったらさ、オレ追い詰められてゲロっちゃうんじゃないだろか… 冗談抜きでさ…神子の重圧、ハンパないってば。 何より一番行きたくない理由は、勿論ルーファス絡みなわけで。 アイツが貴族の女の子達にチヤホヤされたり、仲良くダンスなんかしちゃったりしてんのなんて見せられたら───── 今のオレなら、泣いちゃうかもしんないなぁ… (やっぱり行きたくないなぁ…) ヴィンセントは既に宮殿へ行っちゃってるし。 実家に戻ったふたりは、そっから直接パーティーに向かうみたいだしさ。 ロロとジーナはオレとずっと一緒だけど。 やっぱり肝心な時にルーファスがいないとなると、なんかすっごく不安になんだよね…。 ホント、オレってばどうしちゃったんだろ? 強くなろうって誓ったのに、なんか逆に色々と拗らせちゃってないか…? こんなことくらいでウジウジして、何するにもルーに依存してばっかだし。自分で言うのもなんだけど、男のクセにホント情けないったらないよな…。

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