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⑭
「はぁ~───…」
「どうしたのセツ、なんだか元気ないね?」
いよいよ迎えてしまった、パーティー当日は。
教育係のヴィンセントが、準備だなんだで忙しなく宮殿へと駆り出されてしまったので…。
神子修行も今日は休みとなり。
それまでの時間は、こうして暇をもて余すことになったんだけど。
ルーファスやアシュレイも、今日の催し絡みで実家から呼び出しがあったもんだから。オレは残ったロロやジーナと一緒に、午前中はダラダラと退屈な時を過ごしてた。
まあ、年少組が外で修業がてらはしゃいでるのを、ただぼーっと眺めてるだけなんだけどね。
ここのところ色々あった所為か、毎日ホント目まぐるしくって。そういえば、こんな風にゆっくり考え耽る余裕も無かったなってさ…。
何より今日という日が、余りに憂鬱過ぎたもんだから。ロロが心配してくれるように…オレは一日中、こんな風に項垂れては、盛大な溜め息ばかりを漏らしていたのかもしれない。
(女装は絶対にしないからいいとして。問題はダンスパーティーだろ…)
オレみたいな庶民がお城の舞踏会なんて、場違いにも程があるよね?
だって社交ダンスとか、まずしたことないし。
あっても学生時代にフォークダンスくらいが関の山だろ?どっちかというと、リズム感だってない方なんだしさ…。
しかもだ、まだ魔法のひとつも使えないってのに。神子として大勢の前で紹介されちゃうとか、どんだけプレッシャーなんだって話だよな?
どうせいつもみたく、化け物扱いされんのは目に見えてんだし。そうなったらさ、オレ追い詰められてゲロっちゃうんじゃないだろか…
冗談抜きでさ…神子の重圧、ハンパないってば。
何より一番行きたくない理由は、勿論ルーファス絡みなわけで。
アイツが貴族の女の子達にチヤホヤされたり、仲良くダンスなんかしちゃったりしてんのなんて見せられたら─────
今のオレなら、泣いちゃうかもしんないなぁ…
(やっぱり行きたくないなぁ…)
ヴィンセントは既に宮殿へ行っちゃってるし。
実家に戻ったふたりは、そっから直接パーティーに向かうみたいだしさ。
ロロとジーナはオレとずっと一緒だけど。
やっぱり肝心な時にルーファスがいないとなると、なんかすっごく不安になんだよね…。
ホント、オレってばどうしちゃったんだろ?
強くなろうって誓ったのに、なんか逆に色々と拗らせちゃってないか…?
こんなことくらいでウジウジして、何するにもルーに依存してばっかだし。自分で言うのもなんだけど、男のクセにホント情けないったらないよな…。
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