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③
「そっか、それで傷だらけなんだな。」
更に頭を撫でてやると、照れ臭そうにしながらも抵抗はしないジーナ。
ロロとは全くタイプが違うんだけど。
可愛い弟って感じがして、なんか構いたくなんだよなぁ。
オレはひとりっ子だったから、兄弟ってのにも少し憧れてたし。だからこういうたわいもない遣り取りって、嬉しいんだよね~。
年下に懐かれるのも、悪くないしさ。
「ま、こんなの怪我に入んないけどな!オレ、もっともっと修行して…ルーのヤツを、いつか絶対負かしてやるんだ!」
気合いのガッツポーズで、勝利を誓うジーナ。
そんな彼をじっと見ていたヴィンセントが、徐に口を開く。
「ちょうど良いので、ジーナに協力してもらいましょうか。」
『へ?』
名指しされたジーナとオレが、揃って疑問符を浮かべると。ヴィンセントはにっこり笑顔で答える。
「先ほど貴方が言っていたでしょう?それならば実際に試してみるのが、最良というものですよ。」
「あ~…なるほど。」
言われて気付き、ジーナに向き直る。
都合の良いことに、傷をいくつも拵 えてきたジーナは。オレの魔法の実力を知るには、まさに恰好の実験体…ってわけで。
「なぁ、俺すっげぇ嫌な予感すんだけど…?」
ジーナが表情をひきつらせるのに対し、なんとも胡散臭い笑みを溢すヴィンセント。
「良かったですね~ジーナ。貴方の傷を、セツ自らが治して下さるそうですよ?」
神子の恩恵を最初に受けられるとは、羨ましい限りですね~…なんて言って。有無を言わさぬ圧をかけてくるヴィンセント。
それには若干怯んでしまったジーナだったけど…。
「わーったよ、別になんもねぇだろうし…」
これもセツのためだし…そうジーナは仕方なさそうにしながらも。なんだかんだと快諾してくれるのだった。
くぅ~ジーナのツンデレさんめ!ホント可愛いヤツだなあ~。
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