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「はぁ───…行きたくないな~…」 「仕方ないでしょう。体調不良とはいえ、神子としての信用を落としてしまったのですから。」 ヴィンに促され、重い足取りで歩くオレと守護騎士一行は。またまた宮殿へと駆り出されていた。 神子が公の場にて、初めて御披露目されるかもしれない…ということで。元々小規模の予定だった舞踏会には、異例な数の参加者が殺到したのだそう。 しかしながら、オレが体調不良で…ってそれは便宜上の言い訳だったんだけども。 ぶっちゃけサボってドタキャンしてしまった所為で、神子に対しお偉いさん方の不信感を買ってしまったみたいだ。 神子の歴史が始まって以来、最大の珍事。 神子がオレ…─────男ってだけで。 真偽云々どころか、のっけから異端視されてるようだったし。神子の存在そのものに対し、疑問視する派閥も少なからずあるっていうんだから…。 今回の一件を理由に、元から反抗的だった一部の重臣達が。神子崇拝者であるアリシア様に対し、ここぞとばかりにイチャモン付けて来たんだそうな。 元々パーティーへの参加は、自由と言われていたし…そこはなんとかアリシア様が庇ってくれたから。舞踏会でもそれほど大した騒ぎには、ならなかったみたいだけど…。 状況的に見ても、これ以上神子を出し惜しみするわけには、いかなくなっちゃったもんだから────… 後は推して知るべし、である。 (みんなにも迷惑かけちゃったしな…) オレだけ責められるなら、よかったんだけど…。 オレを心配したルーファスまで、途中退席させちゃったし。 それ以前に、城下での一件もあっただろ? したら守護騎士の責任能力まで、問われ始めちゃってさ…。 今更だけど…自分がこの世界にとって、重要な役割を担ってるんだってことを。今回ばかりは嫌ってほど、思い知らされたんだ。 「暫し此方にて、お待ち下さい。」 謁見の間に入ると。 今までと違い、如何にも偉そうな雰囲気の人達がズラリと並んでいて。嫌でも、好奇の目に晒される。 今日に限っては、あのジーナでさえ口を慎み… 女王様が来るのを、固い表情で待ち構えていた。 「なんだか、みんなピリピリしてるね…」 ロロが不安げに耳打ちしてきて。 オレは改めて周りを見渡す。 この世界に来てから、何度か謁見してきたけれど。これだけの人数が勢揃いしてるのは初めてで…。 ヘタレなオレはあっさり雰囲気に飲まれてしまい、萎縮する。 聞いた話しだと、今日集まる顔ぶれは… 主に政を司る宰相や、騎士団・治安部隊などの軍事関係を統べる元帥に始まり。 貴族中心で構成された貴族院の大臣達…そして、ルーファス達が元々所属していた各騎士団の団長らも、部下を数人連れ参列していた。 こういう時、お約束というか…如何にも腹黒そうな印象の貴族院のオッサン達が、オレの方をジロリと睨んできて。 その度にヒソヒソと、何か耳打ちし合う。 神子と言えば世界を救う救世主であり。 国総出で守護すべき、尊い存在なのだと…みんなからはそう、教えてもらってたのに。 国の上層部分に関わっているハズの貴族院達の視線からは、そんな雰囲気なんて微塵も感じられやしない。 逆に騎士団の人達だとルーファス達と同じよう、守護騎士になることを志してたわけだから。敵意とかは全然無さそうだけど…。 ああいう大人達と関わっても、良いことなんか絶対あるわけが無いから。 これからどういった扱いを受けるのかって思ったら…考えただけで、足が竦んでしまいそうだ。 いい知れぬ不安と、あからさまな猜疑(さいぎ)の眼差しに晒されるオレは。 堪らなく不安になり、隣に立つルーファスの袖を無意識に掴んでしまったが… 「大丈夫だ、セツ。」 凜とした声に弾かれ見上げた、大好きな顔が。安心しろって優しく微笑んでくれたから…。 オレもうんって笑顔で返し、なんとか平静を保つことが出来たんだ。 でも…

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