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そんな王子様オーラ全開なオリバーさんに手を引かれ、馬車から降りると。 後ろに続くルーファスに向け、アシュレイが何故か慰めるみたくポンポンと肩を叩いてるのが見えて。 あれ?ルーのやつ、急に不機嫌そうになっちゃったけど…どうしたんだろ? 「ほらほら~、そんな顔しないで。せっかくの男前が台無しだよ?」 いつも何かとぶつかっては、火花を散らすふたりだけど。今は珍しく、アシュがルーを元気づけている様子。 「ヤキモチを妬きたくなる気持ちは、痛いほど解るけれどねぇ。そんな怖い顔ばかりしていては、セツに(うと)まれてしまうよ?」 「わ、私は別にヤキモチなどっ…」 オレの名前が上がり、何事かとルーを見上げると。 目が合った瞬間、ハッとするルーファスは…何だか気まずそうにして、顔を(そむ)けてしまう。 「え…?ルー、オレに怒ってんの…?」 もしかしたら機嫌悪くなったのも、オレの所為なのかな… そう思ってしゅんとしてると… 「違うんだセツ、これは…そのっ…」 誤解だと大袈裟に狼狽えるルーを見て、オリバーさんがクスリと笑う。 「なんだか楽しそうだな、ルーファス。」 そう溢すオリバーさんは、どことなく寂しそうに見えて。 「私は、君達のように守護騎士として。セツ殿に直接仕えることは出来ないが…」 ルー達をひとりひとり見やり、最後にオレへと向き直ると。 「セツ殿をお慕いする気持ちは、我らとて同じですので…。」 握られたままの手に、ほんの少しだけ力が込められて。言葉通りの真っ直ぐな瞳に、彼の人柄が見てとれるから。 「ありがとうございます、オリバーさん…」  オレは心から感謝を述べ、深々と頭を下げた。 「ルーファス、それにお前達も。セツ殿の事を頼んだぞ。我々も、守護騎士を全力で援護するから。」 「はい!宜しくお願いします。」 隊長の貫禄で激励するオリバーさんに。ルーファス達も騎士の習わしに則って返した。

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