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⑤
「アリシア様!お待たせしてすみません。」
「セツ殿こそ馬車での移動、さぞやお疲れでしょう。」
今回の目的地、神淵の森の拓けた場所に陣を構え。森の入り口付近で待っていたアリシア様が、オレを手招きする。
本来なら、宮殿で待たねばならぬ立場だろうに。
いや、実際…アリシア様が行くってなった時、宰相さんや元帥さん達が猛反対してたらしいけど。
こういう時のアリシア様は頑固一徹、考えを改めることはなく。
さっきも言った通り、オレだけに責任を押し付け胡座をかく王など愚の骨頂。ならば自らも神子と共にあるべきだと…その決意は、全く揺るがなかったそうだ。
そんなアリシア様の性格を、理解しているからこそ。宰相さん達も、最後には折れてたみたいだしね。
「アリシア様は、大丈夫なんですか?」
女王様なのに…オレが心配を口にすると、アリシア様は気丈に微笑む。
「ご安心下さいな。我が身を守る術は、心得ておりますので。」
確かに、今日のアリシア様はいつものきらびやかなドレスではなく。華やかさはあれど、騎士の隊服を女性用にアレンジしたようなキリッとした服装に、腰には細身の剣を携えている。
そうは言っても、やはり体格は普通の女の子。
オレより華奢だし、此処は散々危険だなんだって自分で言ってた場所なんだから。今からでも、お城に帰った方が良いと思うんだけど…。
オレが不安丸出しでいると、ジーナがこっそり耳打ちしてきて。
「ああ見えて、アリシア様は、かなり強えんだぜ?剣術なんてそこらの騎士にも負けないぐらいの腕前だし。魔力量だけで言えば、ロロより上かもしんねぇな。」
なんでもフェレスティナの王位継承権は、魔力の高さに重きを置いているらしく。特徴として、女性の方が高い傾向にあるのだそう。
なので王ではなく女王が上に立つことが大半で。
アリシア様の先代も皇后様…アリシア様のお母さんが、女王に即位していたんだそうだ。
ちなみにアリシア様には、兄妹弟がいるらしいけど。一番魔力が高く、女王としての才も認められたため…前女王から早々と、王位を受け継いだんだって。
それでオレと同年代だって話だから。ホント尊敬しかないよね…。
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