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⑥
「いつもはニコニコしてて優しいけどよ。怒るとマジで怖ぇかんな…?」
気を付けろよって、ジーナがこっそり忠告すれば、
「うふふ、ジーナ?」
「うぅ…」
女王様は、にっこり笑顔を湛えるのだけど。
なんでだろ…笑ってるのに、アリシア様の背後にドス黒いオーラみたいなものが、見えたような気がして。思わず悪寒が走る。
呼ばれたジーナも、あからさまビクビクしちゃってるし…。
これは肝に銘じておこう…と。
オレは心中で、何かを察するのだった。
「時間も限られてますから、本題に参りましょう。」
言われて目的を思い出し、森の方に目をやる。
森の入り口は日の光を受け、木漏れ日が風に揺れ、神々しく煌めいて見えたが…なんとなく、異様な雰囲気を肌で感じる。
神子により施された結界が、この奥にあるらしいけど。ここからではそれ以上の情報は、殆ど判らない。
偵察部隊の騎士さんが説明するに、此処から祠までの距離は、さほど遠くないとは聞いてたものの…。
言い知れぬ不安に駆られるオレは。
正直逃げたくなる気持ちで、いっぱいになってた。
「聖域までの道は…整備こそしていますが、道幅はありませんので。オリバーを筆頭に、騎士団が小隊を組んで先頭と殿 を…挟んで神子殿のお傍には、守護騎士を配備させて頂きます。」
残りの騎士は有事に備え、この場で待機するとのこと。
森の中は神子の加護があるため、魔物の類いはいるものの…比較的安全ではあるそうなんだけど。
それでも万が一を考慮して。同行する騎士達は特別編成部隊の中でも、更に選りすぐりの精鋭陣で組まれるらしい。
傍には守護騎士のルー達がいるし、騎士団トップクラスの実力を誇るオリバーさん達だって、ついてくれてるから。
初めての視察で、かなり緊張はしてたけど…
これならなんとかなりそうかもって、多少は落ち着いていられた。
「先だって偵察隊に、聖域内を確認させましたが…特に目立った異常は見られませんでした。」
オレの役目は今のところ、結界のある場所まで行くだけ。
大した力もまだ無いから、それが精一杯なんだろうけど。神子の力を直接肌で感じれば、何か掴めるかもしれないし。
要はオレ次第…女王様の引率付きで、これだけ大所帯で来てるんだから。是が非でも、何かしら得るものが欲しいところでは…あるんだけどね。
なぁんて考えてたら、また緊張してきちゃったぞ~…
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