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「ごめんなさい…」 自身を無理やり捕まえたジーナには、プイッと反抗的にそっぽを向いちゃってたけど。 それでもルーファスに対しては、素直に頭を下げるティコ。ルーを追っかけ、こんな所まで来たって話だから…相当懐いてたんだろうなぁ。 子どもにだって絶対好かれそうだし。ルーが子どもと無邪気に戯れてるのを、想像しただけで…なんだか胸がほっこりしちゃうよね。 「ひとりで帰すのは危険だから、送ってやりたいところだが…」 「だなぁ…オレ達守護騎士が、セツから離れる訳にはいかねぇかんなぁ~。」 想定外のことに…ルーとジーナがオレを見ては、頭を抱える。 このまま、こんなに小さな少年を放っておくのも忍びないし。かといってオレ達は今から聖域に行かなきゃなんないから、一緒にもいられないし…。 「ならば騎士団に護衛をお願いしては、如何ですか?」 ヴィンからそう提案され、その手があるじゃん~とオレは感嘆の声を上げる。 「そうだな、此処も安全とは言えないし。早急に孤児院へと帰らせた方が良いだろう。」 ルーもひと安心だと納得して、ティコの頭をふわりと撫でる。 「じゃあオレが頼んで来るよ!オリバーさんなら、きっと了承してくれるだろうし!」 「えっ…オリバー団長に────いやセツ、それなら私がっ…」 善は急げとばかりにオレは。何か言い掛けたルーに気付きもせず、ダッシュでオリバーさんの元へと駆け出して。 後ろから「ボクも行く~」と、ロロののんびりした声がついて来る。 そうしてオレがオリバーさんへ、ティコのことをお願いしている間… 「行っちゃったねぇ~、セツには全く自覚がないからねぇ。」 強力なライバルがどんどん増えちゃうね~と。 アシュがぽんっ…と、ルーの肩を叩く。 「私は、別に…」 言われてルーはオリバー隊長と話すオレを遠巻きに見やり、言葉を濁して。 「ならば貴方は手を引くと言うことで、宜しいですね?」 「なっ…ヴィン、それはどういう…」 「え、マジ?ルーが抜けるなら、オレも本気出そっかな~…」 「ジーナ…お前まで何を────」 ルーファスとアシュレイ、それにヴィンセントとジーナの4人。彼らがそんな、意味深な会話をしているだなんて。 「あっ、またセツがオリバー隊長と手ぇ繋いでやがる~!」 「せ、セツ…!?」 「ふはっ…セツが相手では、前途多難だねぇ~。」 そんなことなど知る由もなく…。 彼らは皆、アシュの言葉に同感だと云わんばかりに。 オレを見ては、深い溜め息を漏らすのであった。

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