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⑦
「セ───」
「ロロ、一緒に散歩にでも行こーよ!」
「えっ…うん、良いけど…」
オレの回避行動は、誰がどう見ても…あからさまだった。
神淵 の森での一件から目覚めたのが、昨日の話で。ルーと色々あったのは…推して知るべし。
あれからオレが意識しまくってるのを誤魔化すため。怒ってるフリをしながら、ルーファスのことを避け続けてたんだけど…。
それは今も現在進行形で、継続中なのである。
だってさ~…あれは実際に、ルーが悪いと思うんだよね。男相手に、いきなり触っていいか?…なんてさ。
しかもあんな、女の子にするみたく変な触り方…するもんだから。そりゃ、ヤラシイ声も出ちゃうって話ですよ。
おかげで片想い拗らせてるオレは、更にルーにドキドキしまくっちゃうし…当然みんなも気付いてるだろうから。
こんな風に避けるのは、良くないとは思うんだけど…そう思いながらも、どうしたって気持ちが追い付かないんだから。ついつい逃げちゃうんだよね…。
「え、と…」
オレに無視されたルーが、悲しげに項垂れるのを見て。板挟み状態のロロが…困ったよう目を泳がす。
こんな遣り取りが、昨日からずっと続いていたため。巻き込まれた者は皆、一様に溜め息を漏らしていた。
「さあて、困ったもんだねぇ~…」
ルーの沈みようを見かねてか、アシュが態とらしく肩をすくませて。
「根本的な問題を解消した方が、宜しいのでは?」
同意見だと謂わんばかりに、ヴィンも解決策を投じる。隣のジーナもウンウンと頷いた。
「…で。セツはどうして、ルーファスを避けているんだい?」
「うっ…」
この流れならそう来るだろうと、逃げる体制を取ってたのに。
先手を取られ、ポンッと肩に重圧が落とされる。
諦めて恐る恐る振り返れば…アシュの極上スマイルとぶつかってしまい。
その笑顔、逆に怖いんですけど…。
「何があったかは、知らないけど…ねぇ?」
アシュの視線に釣られて盗み見れば、いたたまれぬルーの顔が目に留まり。まあ、オレが原因なんだけど…すっかり落ち込んでしまってるご様子で。
解ってるけどさ~、こればっかりは…
「喧嘩でもしちまったのか?」
ならさっさと仲直りしちゃえよ~と、軽く笑い飛ばすジーナ。彼なりに気を遣ってくれてるんだろうけど、そんな簡単じゃないんだよね…。
「別に、喧嘩じゃないよ…けどっ…」
まさか、オレがルーを好きで…意識しちゃうから避けてるんだ────なんてことは、言えるハズもなく。オレはモゴモゴと口ごもる。
そんなオレを逃さぬよう、みんなで囲むもんだから。オレの心は更に追い込まれ…思わず尻込みするのであった。
「けれどこのままじゃ、お互いにも良くはないし。ロロ達にまで気を遣わせては、可哀想だろう?」
「うう~…ゴメンナサイ…」
そう言われても、どう答えたら良いのか判らず泣きそうになるオレを。アシュは優しく宥めてくれて。
「これも良い機会だし。本人に言い難い事なら、僕達も相談に乗るから…ね?」
アシュに諭され、どうしようかと考えあぐねていたものの。なんとか気持ちを整理して…だけども色々バレないようにと。
かい摘まんで説明しようと、思ったんだけれど───
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