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「だって、さ…ルーが、そのっ…」 ──────だなんて。 つい口から滑り落ちた言葉は色々とはしょり過ぎた結果、ただの地雷にしかならず。 その場の空気は一瞬にして、凍り付いてしまう。 「それはまた…なんとも、衝撃的だねぇ…。」 苦笑うアシュに対し年少組は、完全に思考が停止しており。ヴィンに至っては、引き攣った顔でギラリと眼鏡を光らせる。 「あ…やっ違っ、そうじゃなくて…!」 じゃあどうなんだろって自問自答してみるも。 一度口にしてしまった失言を、取り消せるような言い訳も浮かばず。オレのようなヘタレ人間は、せいぜい真っ赤になって項垂れるのが精一杯で。 それが更に、誤解を助長することとなり… 「さて…どういう事ですかね、ルーファス?」 「えっ…」 疑問を投げる先には、困惑するルーファスの姿があり。ヴィンは尋問するかのよう、追い討ちを掛けていく。 「まさか貴方のような人が、真っ先に手を出すとは…」 詳しく聞かせて頂きましょうかと、詰め寄るヴィンに。ルーは慌てて弁解した。 「誤解だっ!…いや、誤解なんだが…そのっ、」 焦るルーに、ロロとジーナという火種も加わってきて。 「いいなぁ~…ボクだってセツに触りたいの、ずうっと我慢してるのに。」 「ロロ…!そ、そういう厭らしい言い方をするんじゃない!」 「ヤラシーって、ルーの方こそ何考えてんだよ~?」 「ッ…ジーナ!!」 いつもの冷静なルーファスはどこへやら。お子様ふたりにまで翻弄され、真っ赤になって憤慨する始末。 あ──~…ルーも相当、動揺してるなぁ… 「はぁ…まったく、大人をからかうものでは────…って、セツ!?」 と、ルーがみんなに弄られてる隙を見計らって、オレは猛ダッシュで駆け出す。 これ以上みんなに尋問されたら、何を仕出かすか分かんないからね。ルーにはちょっと申し訳ないけど…。 自分じゃどうにもならないオレは、独り逃亡を図り。その場から離れるのであった。 ホントごめん、ルーファス…

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