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…というわけで。 オレはルー、ジーナとロロにアシュの守護騎士様4人をお供にティコを連れ、孤児院へ向かうことになり。 オレとティコは、まだまだ万全とは言えない状態だったし。ヴィンからは馬車で移動するようにと、言われたのだが…。 「ぼく、馬に乗りたい!」 無邪気で好奇心旺盛なお年頃は、まんまる(まなこ)をキラッキラと輝かせ、おねだりしてくる。 「お前まだ怪我してんだろ?馬なんか乗ったら、傷に響くぞ~。」 こうみると、ジーナも随分とお兄ちゃんって感じで。ティコを優しく嗜めるんだけど…。 「ダメ…神子さま…?」 「ううっ…」 オレが押しに弱いのを知ってか知らずか、ティコがこっちを見上げてくるもんだから。 「乗せて…上げられない、かなぁ…?」 今度は助けて~と、オレがルーとアシュを見上げ、お願いしてみる。と… 「…これは、反則だよねぇ…ルーファス?」 「…そう、だな。」 ティコについては、最年長のアシュが安全運転で乗せて行く…ということで決まった。 「さあ、セツ。」 「う、うんっ…」 で、なんならオレも馬が良いって…漁夫の利ついでに乗せてもらうことにしたんだが…。 アシュ達みんなの強い薦めもあり(?)…オレはルーと相乗りすることになった。 まあオレは内心、乙女みたくキャーキャー歓喜してたわけだけど。いざ人生初の乗馬!…ってなると、それはそれでスッゴク緊張するワケで。 しかも… 「どうした?…やはり怖いか?」 ルーが騎馬に股がると、もうハンパなく絵になるので。 優雅にそつなく、手を差し出されようものなら。 オレの心臓は、破裂してもおかしくないくらい高鳴っていた。 「オレ、初めてだから…乗り方とか分かんなくてっ…」 意識してるのを悟られぬよう、モジモジしながらそう告げると。ルーは苦笑しながらもオレの手を引き…ひょいと軽く持ち上げる。 「わわっ…」 「ほら…私にしっかり掴まって。」 ルーと手綱の間に横向きで座らされて。 どこに掴まれば良いか分からず、フラついていると…。 片手で抱き寄せられるようにして…耳元へと、直接囁かれた。 「ひぇ…っ…」 思ったより高さがあり、つい臆してしまうオレは。言われた通り、ルーの身体へギュッとしがみつく。 するとルーは、ふわりと微笑んで。 「安心して良い。絶対に落とさないから。」 …なんなら今の台詞でオレ、恋に落ちましたけど? そんなオレになど、お構い無く…オレの騎士様は、爽やかスマイルと共に。悠々と、手綱を操るのであった。

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