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「あとね、神子さまを守ってる守護騎士さまもみんな、来てくれたんだよ!ルーファスさまのことは、もう知ってるよね?」 ルーを始め、ロロ、ジーナ、アシュも自己紹介して。そうすれば男女間で、また違った反応を見せ始める。 「兄ちゃんも騎士なの?まだ子どもじゃん!」 「お?なら腕試しでもしてやろーか?」 「女の子も騎士さまになれるの?なら、わたしも騎士になれる?」 「ボクは男の子だよ~。人数はまだ少ないけど、女の子でも試験を受けて合格すれば騎士になれるよ!」 ジーナとロロは年が近い分、馴染むのが早く。 「アシュさま、抱っこして~!」 「わたしもわたしも~!」 「ふふ、みんな抱っこしてあげるから。順番こだよ?」 アシュの色気は子どもにも適用されるのか、分かりやすく女の子に囲まれていた。 「ルーさま、どうして来なくなっちゃったの~?」 そしてルーファスは… 久しぶりの訪問で再会した女の子に、本気で泣きつかれちゃってて。苦笑を浮かべながらも、女の子をひょいと抱き上げながら。よしよしと慰めてやる。 「すまない…私には神子を護るという大事な役目が、あるから。」 そう言って、ちらりとオレを見やると。 女の子もじーっとオレを見つめてくる。 「神子さまが大事なの?」 女の子は曇りなき眼でルーを見上げ。 ルーも迷うことなく、 「ああ、何よりも…な。」 そう答え、ふわりと微笑んでいた。 堪らずオレはルーに背を向ける。 (こらこら…子どもになんてことを、) 誤解させちゃうだろ?…って、女の子もそういう意味で言ってないだろうに。 オレは何でもすぐ真に受けちゃうから…悪い癖だ。 「ティコ、無事に戻って来たんだね!」 「リドリー先生!」 騒ぎを聞きつけ、建物から出てきた男性に呼ばれて。ティコは笑顔で彼へと駆け寄って行く。 すると男性は、そのままティコを抱え上げて。足早に此方へとやって来た。 「ルーファス様、お久しぶりです。」 「リドリーさん、ご無沙汰しております。」 顔馴染みの二人が挨拶を交わし。リドリーさんと呼ばれた男性は、オレ達に向き直ると…丁寧に会釈する。 「初めまして。私はここで、子ども達の世話をしております、リドリーと申します。」 「あ、えとっ…オレはセツと言います。その、」 一応、神子です…とぎこちなくも自己紹介すると。リドリーさんは、にっこりと笑顔を湛えて。なんだかとても穏やかで、優しそうな印象を覚えた。 「セツ様、お話は伺っております。ティコの命を救って頂いたそうで。」 ありがとうございますと、リドリーさんは深々と頭を下げる。 「そんなっ…むしろ逆にティコを、あんな危険な目に合わせてしまったし…」 「いえ、元々はティコが招いたことですし。セツ様が救って下さったのは、事実なのですから…。」 そう言ってリドリーさんはもう一度、敬うようにして詫びていた。

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