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③
「んあああ~…」
「ジーナ、お疲れ様。」
「ああいう空気、ホント肩が凝るんだよなあ~…」
宮殿から外に出た途端、背伸びをするジーナに苦笑するも。それにはオレも賛成で。肩の荷を下ろし、ひと息吐く。
今回はオリバーさんやトリント様を始め、宰相さんに元帥さんといった、所謂アリシア様支持派のみで構成されていたので。終始穏やかな議会だった。
…宮殿独特の厳かな雰囲気には、まだまだ慣れないけど。
「早く帰ってさ、ゆっくりお茶でもしよーよ~!」
「それはいいねぇ、なら茶葉は僕のオススメを用意しようかな。」
ロロの提案に、アシュもにっこり笑って返す。
ちなみにヴィンは女王様と話があるからと、まだ宮殿に残っていた。
アイツはオレの監視役も兼ねているからな~。
女装の件といい…また変な報告とか、してなきゃいいけど…。
「ヴィンは、まだしばらく戻れないのかな?」
「グリモア殿の事について、もう少し詳細を聞くとも言っていたからな…」
「そっか…じゃあ一緒にお茶は無理そうだな…。」
誰とはなしに独り言のよう訊ねると、ルーから答えが返ってくる。
普段はスパルタなヴィンだけど。そういうとこも含めて、ちゃんとオレのことを考えてくれてるんだなってしみじみ思う。
本来ならオレも話を聞いた方が良かったんだろうけど。身体に負担が掛かるからと、ヴィンが早めに帰れるよう気を遣ってくれたんだよね。
常に厳しく振る舞っているようで。
なんだかんだヴィンも優しくて、面倒見良いのだ。
「セツ、ルー、なにやってんだよ~!」
ふたりで喋ってたら、いつの間にやら置いていかれてたらしく。随分先に行ってしまったジーナに、おーいと急かされる。
苦笑しながらオレとルーは、促されるまま3人の元へ駆け寄ろうとしたのだけど…
『ルー!』
「ん?」
その時、遥か庭園から声が聞こえ。呼ばれたであろうルーファスと一緒に、ピタリと立ち止まる。
「あれは…」
声の主を認めれば、こちらに手を振る人影が見えて。それが、きらびやかなドレスを纏う女性だと判ると…途端にオレの中で、ドクリと嫌な音が鳴り響いた。
思わずルーを見やると、いつもと反応が違っていて…
「ルーを呼んでるみたい、だけど…」
女性を見て、珍しく固まるルーファスは。
呼ばれているにも関わらず、口元に手をあて考え込んでしまう。
女の子には、しょっちゅう声を掛けられてたから。内心気が気じゃなかったんだけど…。
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