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③
(はぁ…さっきのは、危なかったなぁ~…)
いや…なんとなく指輪の意味が、同じなんじゃないかとは思ってたけど…。みんなの前で指輪を嵌めてたことに関しては、さすがに軽率だったと独りごちる。
こっちの世界の風習がどうであれ、オレ自身は下心丸出しだったからなぁ…。
アシュとか、意外にヴィンもさ…そゆとこ勘が良いからね。オレみたいなヘタレちょっと揺さぶられただけで、即ボロ出しちゃいそうなんだもん…。
ルーへの好意は、何としても隠し通さなきゃ。
男だとか立場だとか、理由は色々あるけれど。なんとなく、好きだってことは言っちゃダメな気がするから…。
オレは気を引き締めるべく、両頬をペチペチと叩いた。
そういえば、朝のことがあってから給仕をしてくれてたメイドさんがオレを気に掛けてくれて。
『宜しかったら、こちらをどうぞ。』と…シルバーのチェーンネックレスを、こっそり部屋まで渡しに来てくれたんだよね。
『そのまま身に付けては、目立ってしまいますし…』
只でさえオレは神子で、みんなの注目を浴びちゃうし。
だからといって、ルーファスがせっかく贈ってくれた物を、仕舞っておくのも忍びないので…と。ネックレスに通し首に掛けたらどうかと、提案してくれたのである。
さすがは王室御用達にして、神子付き侍女…気配りがハンパない。
『私共は、セツ様とルーファス様を応援しておりますから!』
…去り際には謎のエールと共に、キャッキャッしながら去って行ったけど…。
女王様といい、メイドさん達といい…変わった女性が多いのは、もしかしてお国柄なんだろうか…?
とはいえ、指輪をもて余していたのは事実だから。
メイドさんの機転で助かったわけだし…そこは深く追及せず、素直に受け取っておいた。
(でも、良かった…)
チャリ…と、シルバーチェーンに繋がったリングを手に取る。こうしておけば、服に隠れて指輪までは見えないし。肌身離さず、ずっと着けていられる。
神子のオレが指輪なんぞを、薬指に嵌めて宮殿なんかに行こうもんなら…どんな噂が立つかわからないしね。
アシュ達は気の知れた仲だから、今朝みたくからかわれてもまだ平気だけど。知らない人に、ルーと妙な噂とか立てられようもんなら。オレなんてすぐテンパっちゃうだろうから…
ホント、メイドさんには感謝感謝なのである。
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