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⑥
「えっ…ルー達、出かけるの?」
待ちに待った、孤児院訪問の当日。
今朝はルンルン気分で、いつもよりちょっぴり早起きしたりして。
身支度しながら、出発の時を心待ちしてたんだけど…。
直前になって急に、年長組の3人が慌ただしくし始めて。何事だろうかと、エントランスまで降りて来たのだが…。
「すまない、急に呼び出しがあってな…」
守護騎士になる前に所属していた、騎士団から召集依頼が来たのだと。ルーは言いづらそうに説明し…
「僕も知人に不幸があったらしくて。ヴィンも何やら宮殿へ、呼び出されたみたいだよ。」
アシュも残念そうにしながら、いそいそと出かけてしまい。オレと年少組は『え~!』と思わず不満を漏らす。
「とにかく、今から向かわねばならないから…」
孤児院の件は日を改めようと、ルーファスに言われたけれど。オレはあからさま落胆し、ガックリ肩を落とす。
朝のテンションを見てただけに、みんなも困ったよう顔を見合せた。
「郊外へ行くならば、我々守護騎士がなるべく揃っていた方が安全だろう?」
セツを危険な目に合わせたくないんだと、ルーは申し訳なさそうに諭す。
色々とルーに迷惑を掛けてきちゃった身としては、言い返す言葉もみつからないから…
結局、年長組は全員出かけてしまい。
オレとロロにジーナの3人は、寂しいかな屋敷に放置されてしまうのだった。
「行っちゃったねー…」
「なんだよ、3人も揃って急用ってさ~。」
ポツリと溢すロロに、ジーナは不機嫌タラタラと唇を尖らせる。オレはといえば…ルーが出て行った先を、ただぼんやりと眺めていた。
やけにしんとした屋敷内が、虚しさを助長する。
「そんな落ち込むなよ、日を改めれば行けんだからさ。」
「今日はさ、ボクらと一緒に遊ぼ?ね、セツ?」
「…うん。」
年下のふたりに慰められ、申し訳なさに空元気で笑って返す。
ロロ達もオレと同じくらい、楽しみにしてたからな…年上のオレがしっかりしなくちゃ。
けど、そっか…今日は行けないのか…───と。
その時までは諦めてたんだけれど。
「神子様、ちょうど良いところに。」
「ん?」
気持ちを切り替えるために。
散歩しようかと…そのままエントランスから、外へと出た瞬間、声を掛けられて。
「宮殿からの…使者?」
振り替えれば、御者の出で立ちをした男の人が丁寧に会釈する。
「陛下の命を受けまして。孤児院に贈呈する品物を、馬車にて先刻お届けしましたことを…ご報告に上がりました。」
宮殿からの使者が説明するには…
アリシア様に頼まれた孤児院宛の寄贈の品を、事前に運んでおいたって話で。オレ達が孤児院に到着した際、状況が把握出来るよう、報告しに来たってことなんだ…けど。
「今日は中止になったんじゃねーの?」
ルーファスも出掛けにそう話してたし、とジーナは首を傾げる。
「いえ、陛下からはそのような話は何も…。私は予定通りにとの命を受けましたので…」
行き違いではないはずだと、御者はきっぱりと断言した。
「え、どうしよう…」
アリシア様の荷物は、既に馬車で発送済みだって話だし。来る予定だったオレ達が来ないってなれば、リドリーさん達も余計混乱するかもしれない。
でも…
(ルーもアシュも、ヴィンだっていないから…)
頼れる年長組は不在だし、どうすればいいのやら…
オレが頭を抱えて考え込んでいると。
「よし行こうぜ、セツ!」
「へ?…何処に?」
きょとんとすれば、ジーナはニヤリと悪そうな顔をして。
「決まってんだろ?早く支度しようぜ。」
(見つからないよう、コッソリとな?)
そうジーナはオレの手を引き、不敵に笑った。
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