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「えっ…ルー達、出かけるの?」 待ちに待った、孤児院訪問の当日。 今朝はルンルン気分で、いつもよりちょっぴり早起きしたりして。 身支度しながら、出発の時を心待ちしてたんだけど…。 直前になって急に、年長組の3人が慌ただしくし始めて。何事だろうかと、エントランスまで降りて来たのだが…。 「すまない、急に呼び出しがあってな…」 守護騎士になる前に所属していた、騎士団から召集依頼が来たのだと。ルーは言いづらそうに説明し… 「僕も知人に不幸があったらしくて。ヴィンも何やら宮殿へ、呼び出されたみたいだよ。」 アシュも残念そうにしながら、いそいそと出かけてしまい。オレと年少組は『え~!』と思わず不満を漏らす。 「とにかく、今から向かわねばならないから…」 孤児院の件は日を改めようと、ルーファスに言われたけれど。オレはあからさま落胆し、ガックリ肩を落とす。 朝のテンションを見てただけに、みんなも困ったよう顔を見合せた。 「郊外へ行くならば、我々守護騎士がなるべく揃っていた方が安全だろう?」 セツを危険な目に合わせたくないんだと、ルーは申し訳なさそうに諭す。 色々とルーに迷惑を掛けてきちゃった身としては、言い返す言葉もみつからないから… 結局、年長組は全員出かけてしまい。 オレとロロにジーナの3人は、寂しいかな屋敷に放置されてしまうのだった。 「行っちゃったねー…」 「なんだよ、3人も揃って急用ってさ~。」 ポツリと溢すロロに、ジーナは不機嫌タラタラと唇を尖らせる。オレはといえば…ルーが出て行った先を、ただぼんやりと眺めていた。 やけにしんとした屋敷内が、虚しさを助長する。 「そんな落ち込むなよ、日を改めれば行けんだからさ。」 「今日はさ、ボクらと一緒に遊ぼ?ね、セツ?」 「…うん。」 年下のふたりに慰められ、申し訳なさに空元気で笑って返す。 ロロ達もオレと同じくらい、楽しみにしてたからな…年上のオレがしっかりしなくちゃ。 けど、そっか…今日は行けないのか…───と。 その時までは諦めてたんだけれど。 「神子様、ちょうど良いところに。」 「ん?」 気持ちを切り替えるために。 散歩しようかと…そのままエントランスから、外へと出た瞬間、声を掛けられて。 「宮殿からの…使者?」 振り替えれば、御者の出で立ちをした男の人が丁寧に会釈する。 「陛下の命を受けまして。孤児院に贈呈する品物を、馬車にて先刻お届けしましたことを…ご報告に上がりました。」 宮殿からの使者が説明するには… アリシア様に頼まれた孤児院宛の寄贈の品を、事前に運んでおいたって話で。オレ達が孤児院に到着した際、状況が把握出来るよう、報告しに来たってことなんだ…けど。 「今日は中止になったんじゃねーの?」 ルーファスも出掛けにそう話してたし、とジーナは首を傾げる。 「いえ、陛下からはそのような話は何も…。私は予定通りにとの命を受けましたので…」 行き違いではないはずだと、御者はきっぱりと断言した。 「え、どうしよう…」 アリシア様の荷物は、既に馬車で発送済みだって話だし。来る予定だったオレ達が来ないってなれば、リドリーさん達も余計混乱するかもしれない。 でも… (ルーもアシュも、ヴィンだっていないから…) 頼れる年長組は不在だし、どうすればいいのやら… オレが頭を抱えて考え込んでいると。 「よし行こうぜ、セツ!」 「へ?…何処に?」 きょとんとすれば、ジーナはニヤリと悪そうな顔をして。 「決まってんだろ?早く支度しようぜ。」 (見つからないよう、コッソリとな?) そうジーナはオレの手を引き、不敵に笑った。

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