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「お時間がございましたら、どうか子ども達とも遊んでやって下さい。」 リドリーさんと子ども達からの要望もあり、オレ達3人は広場へと向かう。 はしゃぐ子どもらに手を引かれて、たまに取り合いになったりと。なんとも楽しい時間を満喫させてもらった。 ロロとジーナもここでは年相応にやんちゃな少年達を引き連れ、チャンバラごっこをしていたり。 ルーファス達がいないのは残念だったし罪悪感は否めないけど…。来て良かったなあと、元気に駆け回る子ども達を眺めながら、しみじみと思った。 「セツさま、かくれんぼしようよ!」 「うん、いいよ。やろう!」 小さな少年がそう切り出して、ジーナとロロ達もそれに加わる。 余談だけど、こっちの世界のかくれんぼも現世と全く同じで。じゃんけんをして鬼を決めて…という一般的なルールだった。 世界観は違えど、こういった根本的な要素はさほど変わらないのかも。 「うっし!じゃあゆ~っくり10数えるから、しっかり隠れろよ~?」 鬼になったジーナが挑発するよう叫び、子ども達が散り散りに逃げ始める。 オレも先程の少年に手を引かれて。 こっちだよと無邪気に促され、林の中へと駆け出した。 迷うことなく、ずんずんと進んで行く少年。 多少整備された林から、徐々に自然のままの景色へと様変わる。オレは躓かないよう、慎重に走った。 さすがは城下の外で暮らす野生児。森の中を遊び場にしてるだけあって、小さいながら少年の歩調は軽快だ。 一応奥には進入禁止の柵があるらしいけどね。 この時点でもう既に、何か出て来てもおかしくないくらい、森の中は鬱蒼としていた。 「セツさま、こっちだよ!」 「わわっ…そんなに慌てなくても、大丈夫だよ~!」 隠れ家があるんだと、少年はグイグイ手を引いて導く。いつの間にくっついて来たのか更に少年がふたり、オレの後ろにぴったりと並んで走っていた。 ティコよりは少し年上に見える。 (大丈夫、だよね…) 勝手知ったる森だからか、少年達は迷いもなく進んで行く。ジーナの声が途中から聞こえなくなったのに気付き、オレはちょっとだけ不安に駆られたけど。 結構奥まで来ちゃったんだな… 「こんなに奥へ行かなくても、平気じゃないかなっ…?」 森の中なら、そうそう見つからないだろうし。 それとなく声を掛けるも、 「大丈夫、すぐそこに小屋があるから!」 絶対見つからないよ!と少年達が返すから。 男の子は好きだもんね、冒険ごっことか秘密基地とかさ。なのでしょうがないなと苦笑しながらも、付き合ってあげることにした。

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