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⑲
「ふっ…んぁ…」
押し付けるよう触れ合った唇は、吐息を漏らした瞬間深くなり…どちらとなく、舌を絡ませる。
一度気を許してしまえば、後は流されるまま…理性はとろりと溶かされて。
欲に任せ、自ら進んで貪 っていた。
なんでキスしてるのか、この後どうなってしまうのか。色んな疑問が、思考の裏を掠めはするけれど…
今はもう…どうだってよかったんだ。
「はッ…せ、ツ…」
「るう、も…っと…」
息継ぎだって繋がったまま。離れてほしくなくて、恥じらいもなくねだったら。
ルーはすぐに応えてくれる。
どうしよう、こんなキスしちゃったら…
もう我慢出来そうにないよ…
「は…ぁ…」
今にも溢れてしまいそうな、邪 な想いを吐き出さぬよう…キスで塞ぐ。
本当はもう…知られてるのかもしれない。
こんなこと、どんな状況下であれ…男相手で簡単に出来ることじゃないし。
だけどルーは、オレが欲しいと望めば。
何度でも、甘い口付けを与えてくれるから…
この行為の先は…
オレが欲してやまない“コタエ”に、繋がるんだろうか?
「ルー…ぅ…」
「セツ、セツ…っ…」
薄闇の森の中…
小屋は半壊し、無惨な光景が広がるにも関わらず。
昂る熱と、果てない欲に駆られ。
全てを投げ出し…酔いしれる。
息も絶え絶え、それでも無我夢中で。
ルーに縋り付くオレは…
(…ああ───)
なんだろう?
突然くらりと視界が揺れ。
頭の中、耳鳴りに苛まれ意識が眩む。
それは急速に闇へと誘われていき…
「せ、ツ…?」
さっきまでぎゅっと抱き付いてたはずのオレの腕から、突然力が抜けていき…崩れ落ちそうになるのを、ルーの腕が咄嗟に支え留 める。
けど…
(…る、ぅ……)
もっとキスしてたい、触れられたいと願う反面。
この先の未来を知るのが怖くて、
葛藤する。
「セツ…しっかりしろ、セツ…!!」
いつかの台詞みたく叫ぶルーの声が、だんだんと遠退いてしまい。
「セツ───…!!」
夢か現か、区別はつかないままに。
強制的な何かに導かれるよう…
オレは自らをそれに委ね、意識を手放した。
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