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「ふっ…んぁ…」 押し付けるよう触れ合った唇は、吐息を漏らした瞬間深くなり…どちらとなく、舌を絡ませる。 一度気を許してしまえば、後は流されるまま…理性はとろりと溶かされて。 欲に任せ、自ら進んで(むさぼ)っていた。 なんでキスしてるのか、この後どうなってしまうのか。色んな疑問が、思考の裏を掠めはするけれど… 今はもう…どうだってよかったんだ。 「はッ…せ、ツ…」 「るう、も…っと…」 息継ぎだって繋がったまま。離れてほしくなくて、恥じらいもなくねだったら。 ルーはすぐに応えてくれる。 どうしよう、こんなキスしちゃったら… もう我慢出来そうにないよ… 「は…ぁ…」 今にも溢れてしまいそうな、(よこしま)な想いを吐き出さぬよう…キスで塞ぐ。 本当はもう…知られてるのかもしれない。 こんなこと、どんな状況下であれ…男相手で簡単に出来ることじゃないし。 だけどルーは、オレが欲しいと望めば。 何度でも、甘い口付けを与えてくれるから… この行為の先は… オレが欲してやまない“コタエ”に、繋がるんだろうか? 「ルー…ぅ…」 「セツ、セツ…っ…」 薄闇の森の中… 小屋は半壊し、無惨な光景が広がるにも関わらず。 昂る熱と、果てない欲に駆られ。 全てを投げ出し…酔いしれる。 息も絶え絶え、それでも無我夢中で。 ルーに縋り付くオレは… (…ああ───) なんだろう? 突然くらりと視界が揺れ。 頭の中、耳鳴りに苛まれ意識が眩む。 それは急速に闇へと誘われていき… 「せ、ツ…?」 さっきまでぎゅっと抱き付いてたはずのオレの腕から、突然力が抜けていき…崩れ落ちそうになるのを、ルーの腕が咄嗟に支え(とど)める。 けど… (…る、ぅ……) もっとキスしてたい、触れられたいと願う反面。 この先の未来を知るのが怖くて、 葛藤する。 「セツ…しっかりしろ、セツ…!!」 いつかの台詞みたく叫ぶルーの声が、だんだんと遠退いてしまい。 「セツ───…!!」 夢か現か、区別はつかないままに。 強制的な何かに導かれるよう… オレは自らをそれに委ね、意識を手放した。

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