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大神殿の護衛といっても、位置的に説明すれば神子屋敷のほぼ真南にあって。 更に補足すれば…屋敷の西側にアリシア様直属の近衛騎士団の詰所、その隣に宮殿が聳(そび)えている。 宮殿の敷地内全体で見ると、神子屋敷は北西。 更に西に行けば…ルーと始めて出会った、湖へと辿り着くことが出来る。 因みに東側は貴族などの居住区や、宮廷魔術師の研究所といった施設関係があり。その南東には特級騎士団などの詰所が建てられてるのだそう。 宮殿が中央にあるから、それらを前途の建物が両端に挟むような形で設けられていて。更に壁とお堀でぐるりと囲ってあるって言えば…なんとなく解るだろうか。 とまあ…話は脱線したけど。敷地内の面積は、そりゃもう半端ないわけで。 隣の建物まで出かけるにしても、歩けば結構時間が掛かるわけだから…。基本的には馬や馬車で移動することになる。 でもオレは、なかなか外出する機会も少ないので。 急ぎじゃないのなら、なるべく歩いて行くようにしてたんだよね~。 オリバーさんも屋敷までは当然、馬に乗って来たみたいだけど。 オレがなんとはなしにその話をしたら…それなら一緒に歩きましょうって、快く受け入れてくれた。 ルー達もそうだけど。騎士の人達の紳士的っていうか…そういう気立ての良いところは、すっごく好印象に感じる。変に気を遣わなくていいもんね。 「騎士団も現状、慌ただしいのではありませんか?」 道すがら、ヴィンが改めて礼を言いながらオリバーさんに訊ねる。 「そうだな…各地の調査や警備の補填等が、通常の倍近くにまで増えたからな。」 どこの部隊も大変だと苦笑するオリバーさん。 ならオリバーさんも忙しいんじゃ…そんな考えが顔に出てたんだろう。 口に出す前に、彼の方から口を開く。 「我々の部隊は、事前に準備をしておりましたから。ご心配は無用ですよ、セツ殿。」 部下達も良く働いてくれているから、とオリバーさん。 さすが出来る男は、部下にも恵まれているようだ。 こんな人が上司なら、誰だってモチベーション上がりそうだもんね。 「オリバー隊長のその手腕は敬服の至り。まさに騎士の(かがみ)というべきお方ですからね。」 いつもはクールにみんなを牽引するヴィンも、オリバーさんの前だと目を輝かせていて。 なんだか騎士に憧れる少年…のように見えるから。意外な一面を知り、つい微笑ましくなる。 「はは、陛下も一目置いている君の聡明さには敵わないがな。」 ヴィンがここまで尊敬してるくらいだし。オリバーさんは謙遜して、照れくさそうに頭を掻いていたけれど。 特級騎士団第一部隊の団長の名は、伊達じゃないなと思った。 「神殿へは、何用で向かわれるのですか?」 オリバーさんに問われ。 道々、経緯を説明すれば…なるほどと頷く。 「確かに…歴代の神子に関しては、色々と謎が多いですからね。」 きっと得るものがありましょう、と。彼も興味深げに頷いていた。

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