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⑥
大神殿の護衛といっても、位置的に説明すれば神子屋敷のほぼ真南にあって。
更に補足すれば…屋敷の西側にアリシア様直属の近衛騎士団の詰所、その隣に宮殿が聳(そび)えている。
宮殿の敷地内全体で見ると、神子屋敷は北西。
更に西に行けば…ルーと始めて出会った、湖へと辿り着くことが出来る。
因みに東側は貴族などの居住区や、宮廷魔術師の研究所といった施設関係があり。その南東には特級騎士団などの詰所が建てられてるのだそう。
宮殿が中央にあるから、それらを前途の建物が両端に挟むような形で設けられていて。更に壁とお堀でぐるりと囲ってあるって言えば…なんとなく解るだろうか。
とまあ…話は脱線したけど。敷地内の面積は、そりゃもう半端ないわけで。
隣の建物まで出かけるにしても、歩けば結構時間が掛かるわけだから…。基本的には馬や馬車で移動することになる。
でもオレは、なかなか外出する機会も少ないので。
急ぎじゃないのなら、なるべく歩いて行くようにしてたんだよね~。
オリバーさんも屋敷までは当然、馬に乗って来たみたいだけど。
オレがなんとはなしにその話をしたら…それなら一緒に歩きましょうって、快く受け入れてくれた。
ルー達もそうだけど。騎士の人達の紳士的っていうか…そういう気立ての良いところは、すっごく好印象に感じる。変に気を遣わなくていいもんね。
「騎士団も現状、慌ただしいのではありませんか?」
道すがら、ヴィンが改めて礼を言いながらオリバーさんに訊ねる。
「そうだな…各地の調査や警備の補填等が、通常の倍近くにまで増えたからな。」
どこの部隊も大変だと苦笑するオリバーさん。
ならオリバーさんも忙しいんじゃ…そんな考えが顔に出てたんだろう。
口に出す前に、彼の方から口を開く。
「我々の部隊は、事前に準備をしておりましたから。ご心配は無用ですよ、セツ殿。」
部下達も良く働いてくれているから、とオリバーさん。
さすが出来る男は、部下にも恵まれているようだ。
こんな人が上司なら、誰だってモチベーション上がりそうだもんね。
「オリバー隊長のその手腕は敬服の至り。まさに騎士の鑑 というべきお方ですからね。」
いつもはクールにみんなを牽引するヴィンも、オリバーさんの前だと目を輝かせていて。
なんだか騎士に憧れる少年…のように見えるから。意外な一面を知り、つい微笑ましくなる。
「はは、陛下も一目置いている君の聡明さには敵わないがな。」
ヴィンがここまで尊敬してるくらいだし。オリバーさんは謙遜して、照れくさそうに頭を掻いていたけれど。
特級騎士団第一部隊の団長の名は、伊達じゃないなと思った。
「神殿へは、何用で向かわれるのですか?」
オリバーさんに問われ。
道々、経緯を説明すれば…なるほどと頷く。
「確かに…歴代の神子に関しては、色々と謎が多いですからね。」
きっと得るものがありましょう、と。彼も興味深げに頷いていた。
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