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「セツ殿、よくぞ参られました。」 「トリント様、こんにちは~。」 大司教様に軽く挨拶してから、今日の目的を伝えると。神子に関する文献は一般への閲覧許可はされておらず、禁書庫に保管してあるのだとの説明を受ける。 まあそこは神子の特権もあるし、トリント様のフランクさも相成って。あっさりと許可は降りたのだけど。 んでもって早速、オレ達は神殿の奥にあるという禁書庫へと向かった。 「わああ~…如何にもって感じだなぁ…」 窓もない、真っ暗な室内に魔法石の灯りを灯すと。古めかしい本が敷き詰められた棚が、ずらりと視覚いっぱいに広がり…。 なんとも分厚く難しそうな雰囲気のそれに、オレは少しばかり尻込みしてしまう。 だって量はハンパないし…。 見た目からして、絶対ワケ解んない内容の本にしか見えないからさ。 この中から、有用な情報をピンポイントで探そうってなると。かなり重労働なのは、間違いなさそうだ。 「年代及び種類別に、棚ごとに分類しておりますので。」 大まかな説明は、管理をしている神官さんが教えてくれて。ちらりと見れば、確かに棚端に目印となる札が貼られてたけど。 字は読める…が、年代となると話は別。 この世界の歴史なんて、ざっくりとしか学んでないからさ。相当苦戦しそうだぞ、こりゃ…。 「セツが知りたい内容は、大体この辺りの棚にあるかと思われますから。」 「えっ、ちょ───」 自分はすぐ隣の書庫に行くからと。 相変わらずの放任主義で以て、さっさと出て行ってしまったヴィン。 いやいやいや… オレメチャクチャお前を宛にしてたんですけど?こっちの知識幼児以下なオレが、どうやって調べ物なんてすんだよ~! ヴィンにあっさりと見捨てられたオレは、本棚を前にオロオロとして右往左往。 どうしようかと、困り果てていると… 「セツ殿、私で宜しければお手伝い致しますので。」 「えっ…オリバーさんが?……あ、ありがとう!」 見かねたオリバーさんが、そう声を掛けてくれて。 途端にオレは目を爛々と輝かせる。 なんて良い人なんだろう! 嬉しさのあまり彼の手を握り、感謝の気持ちを伝えると。ちょっと驚いた顔をされちゃったけれど… 次には照れたよう、笑顔で返してくれた。

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