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「すみません隊長。心配して見に来たつもりが、逆にお邪魔しちゃって…」 「団の方は全く問題ありませんので。隊長は神子殿をゆ~っっっくり送り届けて下さい!」 「くれぐれも紳士的な対応でお願いしますよ。送り狼になるには、まだ時期尚早ですから…ね?」 『応援してますから~!!!』 最後にそんなことを言い残し。 騎士さん達は、嵐のように馬を走らせ…行ってしまった。 あのノリについていけず、暫しふたりで茫然とそれを見送る。そうして顔を見合わせたら、互いに苦笑が漏れてしまい… 「申し訳ありません、皆良き部下達なのですが…少々騒がしいのが、難点といいますか…」 頭を搔きながら、部下のフォローをするオリバーさんに。オレはクスクスと笑みを漏らす。 「いえ、良いですね…スゴく憧れます、こういうの。」 きっと彼らもオリバーさんが団長だから。 あんな風に、和気藹々としてるんだろうなぁ。 オレは就活に失敗した身だから、社会人にはなれなかったけどね…。こういった雰囲気の職場だったら、毎日が充実して楽しそうだなって思えるんだ。 「オリバーさんて、まさに理想の上司って感じなので…とても羨ましいです。どんなに辛い仕事でも、頑張れそうだし。教え方だって、すごく丁寧で優しかったから…」 オレが大絶賛すると、オリバーさんは気恥ずかしげに:謙遜して。 「や…私など、まだまだ未熟者ですから。より精進し、セツ殿のため…尽力したいと思います。」 姿勢を正し胸に手を当てると…力強く、そう宣言するのだった。 オリバーさんのこういうとこ、ちょっとルーに似てるよね。 「そんな畏まらなくて良いですよ!オリバーさんの方が年上だし…ルー達みたく、オレとは普通に接してくれた方が気も楽だから…」 なまじ顔が整いまくってる人に。 こういうキリッとした話し方されると、恥ずかしいっていうか…心臓に悪いので。 せっかく打ち解けたのだからと提案すれば、オリバーさんは少し困ったよう首を横に振る。 「私には、彼らとは違い…団長としての責務がありますので。」 騎士達の手本であらねばと、真剣な眼差しで彼は答えた。 「そうですよね…オリバーさんの立場もあるし、仕方ないですよね…」 団長クラスの人が神子と馴れ合い過ぎるのも、周囲の目とかあるし、さすがに難しいのかもしれない…。 でも、ちょっと残念だなぁと思って俯いたら。 「セツ殿のご厚意はとても嬉しいのですが…」 勝手が効かず申し訳ありませんと、すまなそうに頭を下げられてしまい。 そういうとこも、やっぱり似てるなぁなんて…つい考えちゃうものだから。

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