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⑪
「すみません隊長。心配して見に来たつもりが、逆にお邪魔しちゃって…」
「団の方は全く問題ありませんので。隊長は神子殿をゆ~っっっくり送り届けて下さい!」
「くれぐれも紳士的な対応でお願いしますよ。送り狼になるには、まだ時期尚早ですから…ね?」
『応援してますから~!!!』
最後にそんなことを言い残し。
騎士さん達は、嵐のように馬を走らせ…行ってしまった。
あのノリについていけず、暫しふたりで茫然とそれを見送る。そうして顔を見合わせたら、互いに苦笑が漏れてしまい…
「申し訳ありません、皆良き部下達なのですが…少々騒がしいのが、難点といいますか…」
頭を搔きながら、部下のフォローをするオリバーさんに。オレはクスクスと笑みを漏らす。
「いえ、良いですね…スゴく憧れます、こういうの。」
きっと彼らもオリバーさんが団長だから。
あんな風に、和気藹々としてるんだろうなぁ。
オレは就活に失敗した身だから、社会人にはなれなかったけどね…。こういった雰囲気の職場だったら、毎日が充実して楽しそうだなって思えるんだ。
「オリバーさんて、まさに理想の上司って感じなので…とても羨ましいです。どんなに辛い仕事でも、頑張れそうだし。教え方だって、すごく丁寧で優しかったから…」
オレが大絶賛すると、オリバーさんは気恥ずかしげに:謙遜して。
「や…私など、まだまだ未熟者ですから。より精進し、セツ殿のため…尽力したいと思います。」
姿勢を正し胸に手を当てると…力強く、そう宣言するのだった。
オリバーさんのこういうとこ、ちょっとルーに似てるよね。
「そんな畏まらなくて良いですよ!オリバーさんの方が年上だし…ルー達みたく、オレとは普通に接してくれた方が気も楽だから…」
なまじ顔が整いまくってる人に。
こういうキリッとした話し方されると、恥ずかしいっていうか…心臓に悪いので。
せっかく打ち解けたのだからと提案すれば、オリバーさんは少し困ったよう首を横に振る。
「私には、彼らとは違い…団長としての責務がありますので。」
騎士達の手本であらねばと、真剣な眼差しで彼は答えた。
「そうですよね…オリバーさんの立場もあるし、仕方ないですよね…」
団長クラスの人が神子と馴れ合い過ぎるのも、周囲の目とかあるし、さすがに難しいのかもしれない…。
でも、ちょっと残念だなぁと思って俯いたら。
「セツ殿のご厚意はとても嬉しいのですが…」
勝手が効かず申し訳ありませんと、すまなそうに頭を下げられてしまい。
そういうとこも、やっぱり似てるなぁなんて…つい考えちゃうものだから。
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