180 / 423
⑫
「ふふ…なんだかオリバーさんは、ルーに似てますね。」
だからかな…
気付いたら思ったことを、ぽつりと声に出していた。
ルーの名前が出たことで、オリバーさんは何故か固まって物憂げに黙ってしまい。
オレは首を傾げたまま、長身の彼を見上げていると…
「確かに、彼とは何かと気が合いますし。自分でも思い当たるところはありますが…」
複雑な面持ちを浮かべ、ルーよりも明るいエメラルドの瞳で…じっと見つめてくる。
「…セツ殿は、よくルーファスと共にいますね…」
不意打ちに核心めいた質問を投げられ、ドキリとするオレは。
あからさま過ぎるくらい肩を揺らし、思わずオリバーさんから目を逸らしてしまう。
「そう、ですかね…」
誤魔化すよう絞り出した声も、変に上擦っちゃって逆効果だったが…。
「他の守護騎士達とも親しそうには見えましたが…特にルーファスのことを、信頼されているのだな…と。」
オレとルーを見て、感じたことを口にするオリバーさん。もしかしたら彼にも…オレが抱くルーへの感情が、バレてるんだろうかと…
オレは内心ドキドキして、落ち着かない。
「ルーは責任感が人一倍強いし、いつもオレを助けてくれるから…」
好きだなんてことは絶対言えないけど。信頼って言葉は、嘘じゃないから…。
後ろめたさをひた隠しつつ、そう当たり障りなく答えたら。
「それは、羨ましい限りですね…」
「え…」
「私も神子に憧れ、守護騎士を夢見たひとり…ですから。」
守護騎士は、なりたくてなれるものじゃない。
大前提として、まずは神子が召喚されなきゃ始まらないんだし。
更に最難関の特級騎士団に入隊し。
且つ、女王陛下に選定されなければならないのだから。
オリバーさんは周囲から、最も守護騎士に近しい者だと言われてただけに…内では複雑なのかもしれない。
それでも、彼は笑う。
「私は、今の役割に誇りを持っておりますし…セツ殿をお慕いしている気持ちに、何ら変わりはありませんから。」
彼もまた、ルー達と同じように。
神子としてだけじゃなく、オレ個人を見てくれている。
こんな素敵な人にまで慕ってもらえるなんて…
オレはなんて幸せ者なんだろうか。
「オレはまだまだ未熟ですし、みんなに迷惑掛けてばっかりですけど…」
こんな風に思って貰えるような、価値のある人間ではないのだけれど…
「オリバーさんにそう言って貰えて…すごく嬉しいです。」
ちょっと感動してうるうるしちゃったものの。
笑顔で感謝を伝えたら、オリバーさんは照れたように赤くなってしまった。
こう…意外と照れ屋さんな感じも、ルーに似てるよね?
ともだちにシェアしよう!