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ep. …Unknown

オレの不安を煽るかのように。 その夢は時折、姿を現す。 それは決まって、幸せを噛み締めた日の夜に。 所詮は夢だと思いたいけれど… それは生々しくも、鮮明に再生されていき。 オレの心を蝕んでいくんだ。 解ってるさ… オレが想いを口に出さなければ、は立たないんだろう? 我慢してさえいれば。 ルーファスがオレのために、命を落とすことだって無いはずなんだから… それとて、100パーセントの確証があるわけじゃない。 だってこの物語はもう…オレが見てきたルートとは全く関係のない場所へと、向かってしまってるし。 きっとこれは、オレの不安な心を写しただけの夢。それでもひとつの未来じゃないかと思ってしまうのは… 忘れ掛けてた『ゲーム』の存在を、思い出してしまったからだろう。 (違うんだ、ここはもう…) 画面の中の、与えられた選択肢に左右されるような、小さな世界ではなくて。 アイツが与えてくれる熱は無機質なものじゃない… 温かくて優しくて、時に切なくて。 何より心揺さぶるこの想いが、 これが真実だと…叫んでいるんだから。 やり直しの効かない、一本道の世界。 それがこんなにも不安なものだなんて…。 だからこそオレ自身が選んだ答えが、全てを決定付けてしまうことに。 臆病になってしまうんだと、思う。 (ルー…) 始めてこんなにも恋焦がれた人。 独占したい、傷付けたくない、失いたくない… 矛盾してる、けど何より大切だから。 (生きて…) これはオレの我が儘。 それでも、お前が隣に居てくれるなら。 どんなに苦しくても、それがお前を苦しめてしまったとしても。生きていてさえくれれば、いつかはきっと… だから…言わない、言えない。 こんな不器用でごめん。でも、今は許して? いつか本当のことが言える時までは。 どうかオレの隣で、笑っていて欲しいんだ…

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