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⑥
「万が一のこともありますし…。オリバー団長でしたら、ご助力頂けるかもしれませんよ。」
早速掛け合ってみましょうかと、ヴィンが提案してくれて。
「その代わり、もし杞憂に終わったら…貴方が直接、謝罪して下さいね?」
「ヴィン…」
「まあ…オリバー団長でしたら、セツがお願いすれば何でも許してくれそうですがね。」
苦笑混じりにそう付け加え、ヴィンも部屋を出ていった。
「良かったね、セツ!オリバー団長だったら絶対助けてくれるだろうし、安心だよ!」
「うん…」
オリバーさんが援軍を出してくれれば、大丈夫だろうと胸を撫で下ろす。
本音はまだ、ルー達を追い掛けたかったけど…
アシュが言う通り、オレが行ったって足手纏いになるだけ───
「あ…っ…」
「セツ…?」
そんな矢先、またも身体の奥が疼き出し。
急激に襲い来るソレに、オレは膝から崩れ落ちてしまう。
忽 ち目の前がドクリと脈打ち、眩む頭を抱え踞った。
(いやッ…)
先程の映像と、あの夢が重なり。
嫌なイメージが、オレの心を追い詰める。
手を伸ばしても、ルーファスには届かなくて。
それが空振る瞬間、画面は真っ赤に染まり────
暗転してしまった。
「ダメ、だ…ッ…」
絶対に行かなきゃ、ダメなんだ。
自分の意思とは違う衝動に促され、起き上がると…オレはまた歩き出す。
「今のキミが行ったところで、どうにもならないよ?」
アシュに腕を捕まれ、引き留められる。
普段は温厚なのに、今は口調も捉える目も全てが厳しい。
「でも、行かなきゃ…」
オレだって痛いほど自覚してる。この世界じゃ、本当に無力だし。今までは偶然にも神子の力が発動して、難を逃れてきたけども…
あんな奇跡、そうそう起きるもんじゃないし。まず宛になんか、出来やしないんだろう。
「でもっ、なんでかは分かんないけど…行かなきゃって、オレの中で何かが訴えてるんだ…!」
これも神子の能力だとして…神子の本能が、何かを警告しているのだとしたら?
…上手くは言えないけれど、その代わりにオレは真っ直ぐアシュの目を見上げる。
彼も見定めるように。沈黙の中、じっと見つめ返していたけれど…
「いいよ…なら、連れて行ってあげる。」
「アシュ…!」
ダメだよと首を振るロロを、アシュは微笑んで宥める。
「ここはセツを信じてあげよう?」
「でもっ…」
優しく諭され、ロロは一瞬迷いながらも分かったと頷いた。
「ごめんね…ロロ、アシュ…」
結局我が儘を通し、みんなの厚意を無下にしてしまった。
きっと後でルー達に怒られるよな…って、自虐的にぽつりと溢したら。
「いいんじゃない?無事に戻ったら、一緒に叱られようじゃないの。」
悪戯にウインクするアシュに励まされて。
オレはうんと強く返事をし、ルー達の後を急いで追い掛けた。
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