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⑧
『こうも早く、バレちまうとはな…』
流れる映像の中、魔族のラルゴが茶化すよう首を竦める。
『神子を誘 き出すために、態とガキ共を狙えって言われたから…仕方なく来たけどよ。』
それが守護騎士ひとりだけとは…
皮肉を込め魔族は。対峙する人物に向け、愚痴るよう吐き捨てる。
『神子は何処だ?』
『貴様に答える道理はない。』
そう返す蒼髪の騎士は…勿論、ルーファス。
彼の前にはラルゴを含め、数体の魔物が立ちはだかる。
『お前だろ?確かムーバを殺った、騎士ってのは。』
尚も問うラルゴに、答える気の無いルーは黙秘を貫き。対する魔族は、つれねぇなぁと…からかうように苦笑っていた。
『…神子を誘き寄せると言っていたが、そのために孤児院を狙っていたのか?』
『あ…?テメエは何も答えねぇクセに…』
今度はルーが問い質すと、ラルゴは呆れたように声を荒げたが…その問いにはすんなりと口を割る。
『ああ。ムーバが勝手に人間とつるんで、色々やってたからな。そんで神子がここのガキ共を贔屓してるとか、言ってたから…』
ガキを襲えば、神子が来るかもしれない────それはあくまでムーバが、独断で進めていた計画のひとつだったが、と…ラルゴはつまらなそうに付け加える。
『アイツらが、これを利用しようってギャーギャーうるせぇからよ。』
あまり乗り気ではなかったのか。
ラルゴは先程からずっと、投げやりな態度で問われた以上の事を喋っている。
…かと思えば、次にはルーに向けて。ニタリと不敵に笑ってみせるのだった。
『…そんなことより、俺はよ?ムーバを殺ったお前に興味あんだよ。その方が、少しは楽しめそうだろ…?』
挑発的に手招きするラルゴに、ルーは全く動じることなく。冷ややかな表情のまま、じっとラルゴを見据えている。
『勿論、サシでな。』
『魔物を引き連れておいて、戯れ言だな…』
あくまでタイマンを主張するラルゴだったが…
ルーは冷静に、自身を囲む魔物を見渡しては指摘する。
『これはアイツらが勝手に寄越してきただけで。俺の趣味じゃねぇんだよ。』
ラルゴは手出しはさせないと断言するも。
魔族の言うことを真に受けるほど、ルーも愚かではないはず…。
それでも、暫し睨み合った後…
『…ならば、受けて立とう。』
手に掛けていた剣を、すらりと抜き放った。
ラルゴも嬉々としてあの、巨大な戦斧を構える。
魔族の言葉を、そのまま鵜呑みにするのは危険だと思うけど…
ルーの性格上、例え相手が敵であっても…騎士道の礼節を弁 える辺りがなんとも彼らしい。
でもやっぱり、油断しちゃダメなんだ─────
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