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ep. 18 罪への代償①
最後の口付けに後ろ髪を引かれつつ、お互い微妙な空気を抱えながらも。
ふたり孤児院に戻ろうとした矢先、アシュ達が小屋までやって来た。
オレが森に向かってすぐ、ふたりも後を追おうとしたそうだが…。
魔物の襲撃に遭い、孤児院に待機していたジーナも加わり皆で応戦していたらしい。
今はオリバーさん達が援軍に来てくれたため。
残りの処理を任せ、ようやく此処まで来れたのだと…ジーナはとても悔しそうに笑っていた。
「セツ殿!ご無事でしたか…」
みんなと一緒に孤児院まで戻ると…オリバーさんが駆け寄ってきて。安堵したよう、嘆息する。
「すみません、急に…」
「いえ…セツ殿のおかげで、魔族の襲撃を未然に防げたのですから。」
オレが頭を下げると、オリバーさんは逆に礼を述べ微笑む。
「そうだ…ティコ達は…」
「子ども達も皆、無事ですよ。彼らが迅速に魔物を迎撃してくれてましたからね。」
答えるオリバーさんは、視線でジーナ達を示す。
「ありがとう、みんな…」
「たく…セツがひとりで森に行っちまったって聞いた時は、すっげぇヒヤヒヤしたんだからな?魔物も出てきて足止めまで食らっちまうし…」
森では遅れてごめんと、散々謝っていたジーナは。今度は窘 めるように、オレの額をコツンと軽く叩いてくる。
「ボクも生きた心地しなかったんだから…あんなこと、もう絶対しちゃダメだからねっ…セツ!」
「連れて来た責任は僕にあるけれど…。セツはもう少し、自分を大事にしなくてはいけないよ。」
「ロロ、アシュ…ほんと、ごめんね…」
ふたりもよほど心配してたんだろう。
ロロは泣きそうな顔で訴え、アシュも優しく諭すように告げていた。
あの時は無我夢中だったから、考え無しに行動してしまったけど…
本気で心配してくれてるみんなを見たら、申し訳なかったなって思うよ…。
「後から来たヴィンも、相当怒ってたからな~覚悟しといた方がいいぜ~。」
「ううっ…ゴメンナサイ…」
それでもみんなは、笑って許してくれるから。
ホントオレは、とことん甘やかされてるよなぁ…。
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