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「オリバー隊長…孤児院の子ども達への処遇について、ご相談があるのですが…」 そう切り出すのはルーファスで。 魔族が孤児院を狙った経緯など、ラルゴから得た情報を説明していく。 「今回はセツの予知で、事なきを得ましたが…」 またいつ狙われるかも判らないし。 このまま対策もしなければ、神子の足元を掬われ兼ねないと…ルーは建前に、本音を織り混ぜながら進言する。 「そうだな…神子の弱味に漬け込まれては、最悪の事態を招く恐れもあるからな。」 孤児院を優遇すれば、貴族院などの堅物達が難癖を付け兼ねないが… 神子の安全のためとなれば、話は別。 「ならば神殿に子ども達の身を受け入れて貰えないか、掛け合ってみよう。トリント様ならば、きっと快諾してくれる筈だ。」 城下なら神子の加護があるから。 此処より遥かに安全だろうと、オリバーさん。 「ティコを…みんなのことを、よろしくお願いします。」 「お任せを…子ども達の身の安全は、我々が必ず保証致しますから。」 もう一度オリバーさんに、お礼を述べると。 騎士達に呼ばれた彼は、颯爽と職務に戻って行った。 「ありがとう、ルー。」 「ん?」 子ども達のことを気に掛けてくれて。 オレがお礼を言うのも、なんだか変な話だけど。 ルーの気遣いに向け、オレはそう口にする。 「何かあってからでは遅いからな…」 最善を尽くさねばと、ルーはぽつりと返す。 「そうすれば、セツの無鉄砲も防げるだろう?」 「ううっ…ごもっともで…」 珍しく意地悪な笑みを向けるルーに、オレは返す言葉もありはしない。 まあ、オレを思ってのことだから…嬉しいんだけどね。 「はあ~なんか疲れたな~。魔物は大したことなかったけどさ!」 腹減った~と、ジーナが大袈裟に背伸びする。 この場はオリバーさん達騎士団が、引き受けてくれるみたいだし。とりあえず一旦戻ろうかと、みんなで話をしていたら… 「談笑とは…良いご身分ですねぇ、セツ…?」 「ヴィン…」 背後にドス黒いオーラを纏ったヴィンに呼ばれ、ピシリと凍り付く。 「ルーとジーナはさておき、ロロやアシュ殿まで…一体何を考えているのやら…」 これは…今から長い永い説教が、始まりそうな予感に。3人、目配せして苦笑う。 「はあ…とりあえず言い訳は屋敷に戻ってから、たっっっぷりと時間を掛けて伺いますから…」 言ってヴィンは、グシャグシャとオレの頭を掻き回した。 「覚悟しておいて下さいね、セツ?」 「ハイ…」 帰還後…雨で泥んこまみれなオレ達は、なんやかんやときっちり風呂と食事を与えられて… 満を持して、ヴィンによる大反省会が行われたことは…言うまでもなかった。

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