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②
「オリバー隊長…孤児院の子ども達への処遇について、ご相談があるのですが…」
そう切り出すのはルーファスで。
魔族が孤児院を狙った経緯など、ラルゴから得た情報を説明していく。
「今回はセツの予知で、事なきを得ましたが…」
またいつ狙われるかも判らないし。
このまま対策もしなければ、神子の足元を掬われ兼ねないと…ルーは建前に、本音を織り混ぜながら進言する。
「そうだな…神子の弱味に漬け込まれては、最悪の事態を招く恐れもあるからな。」
孤児院を優遇すれば、貴族院などの堅物達が難癖を付け兼ねないが…
神子の安全のためとなれば、話は別。
「ならば神殿に子ども達の身を受け入れて貰えないか、掛け合ってみよう。トリント様ならば、きっと快諾してくれる筈だ。」
城下なら神子の加護があるから。
此処より遥かに安全だろうと、オリバーさん。
「ティコを…みんなのことを、よろしくお願いします。」
「お任せを…子ども達の身の安全は、我々が必ず保証致しますから。」
もう一度オリバーさんに、お礼を述べると。
騎士達に呼ばれた彼は、颯爽と職務に戻って行った。
「ありがとう、ルー。」
「ん?」
子ども達のことを気に掛けてくれて。
オレがお礼を言うのも、なんだか変な話だけど。
ルーの気遣いに向け、オレはそう口にする。
「何かあってからでは遅いからな…」
最善を尽くさねばと、ルーはぽつりと返す。
「そうすれば、セツの無鉄砲も防げるだろう?」
「ううっ…ごもっともで…」
珍しく意地悪な笑みを向けるルーに、オレは返す言葉もありはしない。
まあ、オレを思ってのことだから…嬉しいんだけどね。
「はあ~なんか疲れたな~。魔物は大したことなかったけどさ!」
腹減った~と、ジーナが大袈裟に背伸びする。
この場はオリバーさん達騎士団が、引き受けてくれるみたいだし。とりあえず一旦戻ろうかと、みんなで話をしていたら…
「談笑とは…良いご身分ですねぇ、セツ…?」
「ヴィン…」
背後にドス黒いオーラを纏ったヴィンに呼ばれ、ピシリと凍り付く。
「ルーとジーナはさておき、ロロやアシュ殿まで…一体何を考えているのやら…」
これは…今から長い永い説教が、始まりそうな予感に。3人、目配せして苦笑う。
「はあ…とりあえず言い訳は屋敷に戻ってから、たっっっぷりと時間を掛けて伺いますから…」
言ってヴィンは、グシャグシャとオレの頭を掻き回した。
「覚悟しておいて下さいね、セツ?」
「ハイ…」
帰還後…雨で泥んこまみれなオレ達は、なんやかんやときっちり風呂と食事を与えられて…
満を持して、ヴィンによる大反省会が行われたことは…言うまでもなかった。
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