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⑥
ルーが部屋を出てから、しばらくくして。
オレもよろよろとしながら、自室へ戻ったけれど。
(はぁ…っ…)
一度昂ってしまったモノは、なかなか冷めることはなく。今は無き熱源を求め、オレの心を蝕 もうとする。
そうなれば所詮はオレも男。
頑なに滾 るソレを、右手に委ねてしまうのは…
性 であり、必然でしかない。
(はぁ…る、うっ…)
膝が掠めたあの固い感触は、
オレのモノが、そうなってしまうのと同様に。
確かな反応を示しており…
それがオレに向けた行為によるものであると、
思い知らされる。
(オレに?…男、なの…に…?)
これまで何度も戯れに唇を重ね、触れ合ってきたけれど。
ルーはその度に、あんな風に熱く…
オレを求め、感じてくれてたのかな?
だったら…
(ルー…)
オレでさえ、こんなに欲情して。
我慢出来ず、右手を汚そうとしている。
ならルーは?
一度帯びてしまったこの熱を…どうするんだろう?
もしアイツも、今この熱をもて余しているのだとしたら────
想像してしまったら、オレの身体は素直に疼き。それはもう好きだとか、温い言葉だけでは飽き足らず…
いっそ心も身体も、全部溶け合うぐらいに奪ってはくれないだろうか…と。
ルーもこんな風に、オレを求めてくれてるのかな…?
「はぁ…ぁッ…」
孤独に汚れていくモノを、右手で握り締め。
罪悪感を覚えながら…一方で、とてつもなく歓喜する自分がいる。
溺れては、ダメ…そう自制を内で謳いながら。
この手は止められず、単純な欲へと付き従う。
(ごめん…ルー…)
あんなルー、初めてだった。
いつもはオレに流されてるだけだったのに。
あんな風に、奪われるなんて…
オレが思わせ振りなことばかりするから。
色々と追い詰めてしまったのかもしれない…けど。
オレに触れ、キスをして。
確かにアイツは…欲情していた。
その事実だけで、オレの身体は…
従順に、熱くなれる。
ごめんと何度も口にしながら、行為は止まらぬまま。その果てだけを求め、無心になる。
彼女もいた、経験だって人並みにある。
こんな痴情を、全く知らないわけじゃないけれど…
「るっ、う…る…はぁ…ッ…!」
初めてアイツを欲の対象にして、気付かされる。
好きという感情が、どういう意味を持つのかを。
純愛だとか、綺麗なままでは満たされず。
ギラギラと本能にまみれ、尽きることのない欲望を…厭らしくもお前に抱く。
「はぁッ…はっ…ぁ…」
行き場の無い欲の塊を握り締めた途端、冷たくなるそれに虚しさが募る。
そのくせに思考は、馬鹿みたく冷静で。
愛おしい人を想像しては、更に想いを昂らせるから。
「う…ごめッ…なさ…」
オレはまた、ねっとりと冷たくなった右手で。
満たされるはずのない熱を、慰めるのだ。
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