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⑰
「聞いて、くれ…セツ…」
そう、声を搾り出したルーファスに。
心臓が戦慄し、オレはイヤだと首を何度も振る。
「お願い…だか、ら…」
「いやだ…ききたくないッ…」
ダメだ、そんなことより早く怪我を治して…
話なら、それからでも遅くはない、のに…
それでもルーは、聞いて欲しいと訴える。
「ずっと、だ…お前を…ひと目見た時から、ずっと…」
俺は魅せられてしまったのだと。
途切れ途切れ、紡がれる。
「やだッ…後でちゃんと、聞くっ…からぁッ…」
だって…これじゃまるで、
「俺は、ずっとこの瞬間をっ…夢見て…どう、か…聞いて、ほしい…」
俺は、お前を…
「愛している…」
「あああああ…ッ!!」
夢見たのはオレの方。
愛の言の葉を伝うルーファスは、とても清々しく輝いていて。
オレは込み上げる想いに、涙が止まらなくなる。
「ば、か…なん、で、言っちゃうんだよッ…!」
こうなることを恐れて、
ひたすら隠して、誤魔化して。
ルーにさえ、言わせないようにしてきたのに。
最悪だよ…これじゃ、まるで…
「護ると、約束…したの、に…」
「いいからッ…!も、喋っちゃダメだっ…」
ルーが話す度、その唇から血が流れ出し…
傷口からも真っ赤なそれが止めどなく、溢れてしまうから。
オレは無我夢中で傷口を押さえ、訴えるけれど…
今のルーは、ちっとも聞いてくれないんだ…
「セツに…逢えて、よか…っ…た…、お前の守護騎士に、なれたこと…誇りに、おも、う…」
「なッ…ずっと、一生護るって、誓っただろっ…!!」
オレが駄々を捏ねるように返すと、ルーは一瞬寂しげに笑って…
「セツ、愛して、る…」
「るうっ…!ルーッ…!!」
残酷なほどに、甘い甘い言葉を与えるルーは。
震える手を伸ばし、オレの頬に触れ…
瞳が閉じられると、
そこから、一筋の涙が零れていった。
「ルーッ…ダメだよっ、起きて…ねぇッ…!!」
オレが何度呼んでも、その瞳はもう開かなくて。
唇も僅かに開いたまま…
あんなに与えてくれてた甘い言葉も何も、
もう何も…語ってはくれない。
力失く横たわる愛しい身体に、顔を埋める。
お前は、酷く冷たくて。
受け入れられないオレは…
ただただ、その愛おしい人を、
強く強く抱き締めた。
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