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②
「ルー…」
アシュを見送り、またベッドへと視線を戻す。
眠る表情はとても穏やかに見えるけど…
静かに寝息を立てるだけで、寝返りどころかピクリとも動かないから…
目を離すのが、怖い。
僅かに呼吸で上下する胸元を確認してないと、
生きてるかさえ、不安になってくるから…
今のオレは、本音こうして…
自我を保っているのもやっとだった。
(すごく、怖かった…)
それは自分が死に直面した時よりも、ずっと。
目の前で、愛しい人が魔族に貫かれ…息絶える。
そんなの、思い出すだけで震えが止まらなくなる。
なんとか神子の力も発動して、助けられたけど…
この先、ルーが目覚める保障なんて何処にも無いんだから。
「いつまで寝てんだよ…」
力無いルーの手を取り、
縋るように自分の胸へと抱く。
「起こすのは、お前の役目だろ…ばか…」
反対の手を伸ばして、今度はルーの頬にも触れる。
「あんな告白…ずるいじゃんかっ…」
だったらオレにも言わせろよ…
どれだけ言いたいのを我慢したと思ってんだよ。
オレだって、ずっとずっとずっと…
お前のことを想ってたんだからな…
「自分だけ格好つけやがって…オレのも聞いてよっ…」
いつものように困った顔で、恥ずかしそうに笑って。もう一度言ってくれよ…
そしたら今度はちゃんと、応えるから。
「大好きなんだっ…ルーファスのことが…」
頬から指を滑らせ唇に触れて。
この想いを託し、口付けをする。
すると…ルーと触れた箇所が、僅かに動いた気がして…
「セ、ツ…」
「るっ…ルー…!!」
伏せていた目を見開いた時にはもう。
オレはその愛しい人の腕の中に、
納められていた。
開き掛けた口を、ルーの唇で塞がれる。
「んっ…ふぁッ…」
「は……セ、ツ…」
唐突過ぎて、何がなんだか判らないけれど…
与えられた不意打ちのキスは、オレが夢にまでみたもので。
それは甘く甘く、いつになく熱っぽくて。
オレの心をとろとろに溶かし、
めいっぱい…満たしていく。
制約のあった口付けは、
その戒めからようやく解かれ。
想うまま、深く深く求め合う。
無我夢中、
ただ与えられる喜びに、身を委ねたのち。
ルーが最初にオレへと告げる言葉は、
「愛している…」
そう…オレが何より待ちわびた、愛言葉だった。
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