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⑧
「んんッ…な、に…コレっ…」
ただルーとオレのとが、直に触れて擦れただけ。
なのに例えようのないほどの快感が、全身を駆け抜ける。
そうなると、なんだかスゴく厭らしいコトしてるみたいで…きっとルーが相手だから、なんだろうけど…
「まずい、な…コレは…」
「んあッ!…るっ、動いちゃだめだっ…てっ…」
身を起こそうとルーが少し動けば、ソコにも摩擦が生まれて。与えられた刺激にビクビクと身体が震え…
またそこから、強烈な快感が生み出される。
「セ、ツ…」
「んんっ…なっ、に…」
夢中でルーの首にしがみつくと、耳元で名前を呼ばれて。
余裕なく返事をしたら、
「このまま…いいか…?」
密着する箇所を、ぐっと押し付け問われる。
涙目でウンウンと頷いたら…
目尻にキスを落とされた。
「あっ…ああっ…!」
互いに猛るモノを擦り合わすように。
ルーがゆっくりと腰を揺らし始め…途端に押し寄せる淫楽の波に飲まれ、喘ぐ。
「るっう…やぁ…っ…んンッ…」
「セツ…気持ち良い、か…?」
うんって上擦った声で答えたら、
「俺も、だ…」
野性的な声音で、唸るように返され…
オレの身体は秒で魅了され、身震いする。
こうしてぴたりと抱き合って、ルーが上で腰を揺らしていると。まるで本当に繋がって…エッチなことを、シてるみたいだったから。
想像したら身体は更に昂って…
この淫らな行為が、より官能的なものへと変わっていくのがわかった。
「セツ…っ…」
「あっあっ…る、はやっ…!」
ルーもスゴく感じてるみたい…
口寂しさに見上げた顔は、汗を滲ませ荒々しく息を吐く。
上からオレを離そうとしないその眼は、
いつになく凛々しくも勇ましくて…
メチャクチャ、エロい。
普段はあんなに爽やかで。
王子様みたいに、キラキラしてるのに。
こんな獣みたいな、ギラギラした一面もあっただなんて…
これがオレとの行為によるものだと思ったら。
高まる幸福感で、胸がいっぱいになっていった。
「ああ…るっ、ルー…!」
「ん……」
必死に抱き付いて、中心に与えられる摩擦に歓喜し…酔いしれる。
もう頭ん中は真っ白、視界はチカチカして…
口から発せられるのは、悦に浸る喘ぎだけ。
それでも無意識にルーの名前を呼んでいて。
ルーが吐息混じりに、返事をしてくれたから…
「大好きっ…」
「ッ……俺も、だ…」
愛している─────
互いに、この腕に抱く者に向け。
気付いて、隠して、でもやっぱり好きで。
ずっとずっと言いたくて、言えなかった想い。
今は気にせず、何度も言葉にして紡げる。
そうして、想いを通わせた先に夢見た熱情は。
淫靡な行為ではあれど、スゴく幸せで、
全てを満たしてくれるから…
ただ本能で、欲に従い、溺れたい。
オレもルーも目を合わせたまま。
この行為が、大好きな人との睦言であるのだと、確かめるかのように。
ひたすらに互いの熱をぶつけ合い。
もう、堕ちてしまいそうだ…
「る、うっ…も、いっ…」
「セツ……セツっ…」
薄暗い部屋の中、月明かりだけがオレ達を照らす。
浮かび上がる姿は、ベッドの上で激しく揺らめくふたつの影。
衣服をはだけさせ…肌と肌、熱と熱を絡めさせ、自ら快楽の虜となる。
理性の壁を取っ払い、
目の前の人にだけ意識を委ねれば。
高みなんてあっという間…
途端に限界が、迫りくるのだ。
「るぅ…ああっ…」
「セツっ…愛している…」
甘い甘い言の葉が、オレの耳に囁かれ…
全身がガクガクと震え出す。
「ル───……あああッ…!!」
「ッ……!」
ルーが生み出す律動が、中心のモノを一際強く抉ったら。オレは理性を切り捨て、悲鳴じみた嬌声を上げ…
潔く、欲を吐き出す。
少し遅れてルーの身体もガクンと揺れて。
同様のソレを、オレの腹へと解き放った。
「はぁ…ぁ…っ…」
静寂を汚し、室内に湿っぽい息遣いだけが響く。
ルーが影になり、オレの顔を覗き見て…
とろんとした視界で見つめ合ったら。
自然と唇が重なって…
「ンっ…」
「セツ…好きだ…」
愛している。
触れたままの唇が、そう紡いだのを見届けたオレは。
声にならない言葉で返し。
すとんと夢の中へ、落ちていくのだった。
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