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「…………」 「ふふ、やっと出てきてくれたな…」 根負けして目元だけ覗かせると。 ルーは満足そうに笑みを溢し…額にチュッと口付けてくる。 「いつから起きてたんだよ…?」 というか、今何時なんだろ? 窓の外はまだ暗いけど、うっすらとだけ明るみを帯び始めており。時計の方を見やれば、針は4時過ぎを指していた。 ルーはオレの前髪を()きながら、目を細めしみじみと答える。 「なんだか眠るのが惜しくて、な…」 記憶は曖昧だけど… オレは、その…イッた後すぐ寝落ちしてしまったようで。 まあ、丸3日まともに寝てなかったし。 ルーが目覚めてくれたから、安心して気が抜けちゃったんだろうな。 ずっと寝たきりだったルーは、念願叶ってオレと両想いになれて。あんなコトしちゃった所為もあるだろうけど、興奮して眠れなかったみたい。 しかも病み上がりだというのに、事後処理をご丁寧にしてくれたというか… ルーに言われて確認したら。 やらかしてたハズの下半身は、綺麗さっぱりになっていた。 しかも… 「セツの寝顔が、あまりに可愛いくてな…魅とれてたら、あっという間に時が過ぎてしまっていたんだ。」 「お、まっ…なんてことを…」 良くもまあ、そんな歯の浮く台詞を恥じらいもなく言えるな…。 オレは真っ赤になるのを誤魔化すよう、ツッコミを入れると。ルーは当然だと云わんばかりに返してくる。 「仕方ないだろう?セツと漸く、心を通わせられたのだから…」 眠ってしまったら…もしこれが夢だったらという不安に駆られ。目の前にオレがちゃんといることを、実感したかったんだと…ルーは真顔で告げる。 前から実直な性格だとは思ってたけど… こうも真っ直ぐでいられると、どうしていいかわからなくなるから。 まあ、嫌じゃないから困るんですけど。 なんたってオレの天然タラシ様は、最強だからね…。 「セツ…?」 でもやっぱり恥ずかしいから、仕返しにルーの胸にぐりぐりと顔を埋めてやる。 なんだかんだと、オレだってこれが夢じゃないんだと確かめたいから。遠慮なく甘えて、くっついた。 そしたらルーも、優しく包み込んでくれるから。 「まだ、早いよね…」 「ん…そうだな…」 夜は明け始めたばかりだし… もう少し、こうしていてもいいよね…? 「セツ、愛している…」 「うん…オレもだよ、ルー…」 瞳を通わせ、愛を語らう。 そして当たり前のように、口付けを交わす。 話したいことはたくさんあるし。 これから先の未来を思ったら、不安でしかないけれど…。 「大好き…」 「セツ…」 ほんの束の間、許される限りの時を。 ふたり身を寄せ合って。 揺るがぬ想いに、酔いしれたいんだ。

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