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⑩
「…………」
「ふふ、やっと出てきてくれたな…」
根負けして目元だけ覗かせると。
ルーは満足そうに笑みを溢し…額にチュッと口付けてくる。
「いつから起きてたんだよ…?」
というか、今何時なんだろ?
窓の外はまだ暗いけど、うっすらとだけ明るみを帯び始めており。時計の方を見やれば、針は4時過ぎを指していた。
ルーはオレの前髪を鋤 きながら、目を細めしみじみと答える。
「なんだか眠るのが惜しくて、な…」
記憶は曖昧だけど…
オレは、その…イッた後すぐ寝落ちしてしまったようで。
まあ、丸3日まともに寝てなかったし。
ルーが目覚めてくれたから、安心して気が抜けちゃったんだろうな。
ずっと寝たきりだったルーは、念願叶ってオレと両想いになれて。あんなコトしちゃった所為もあるだろうけど、興奮して眠れなかったみたい。
しかも病み上がりだというのに、事後処理をご丁寧にしてくれたというか…
ルーに言われて確認したら。
やらかしてたハズの下半身は、綺麗さっぱりになっていた。
しかも…
「セツの寝顔が、あまりに可愛いくてな…魅とれてたら、あっという間に時が過ぎてしまっていたんだ。」
「お、まっ…なんてことを…」
良くもまあ、そんな歯の浮く台詞を恥じらいもなく言えるな…。
オレは真っ赤になるのを誤魔化すよう、ツッコミを入れると。ルーは当然だと云わんばかりに返してくる。
「仕方ないだろう?セツと漸く、心を通わせられたのだから…」
眠ってしまったら…もしこれが夢だったらという不安に駆られ。目の前にオレがちゃんといることを、実感したかったんだと…ルーは真顔で告げる。
前から実直な性格だとは思ってたけど…
こうも真っ直ぐでいられると、どうしていいかわからなくなるから。
まあ、嫌じゃないから困るんですけど。
なんたってオレの天然タラシ様は、最強だからね…。
「セツ…?」
でもやっぱり恥ずかしいから、仕返しにルーの胸にぐりぐりと顔を埋めてやる。
なんだかんだと、オレだってこれが夢じゃないんだと確かめたいから。遠慮なく甘えて、くっついた。
そしたらルーも、優しく包み込んでくれるから。
「まだ、早いよね…」
「ん…そうだな…」
夜は明け始めたばかりだし…
もう少し、こうしていてもいいよね…?
「セツ、愛している…」
「うん…オレもだよ、ルー…」
瞳を通わせ、愛を語らう。
そして当たり前のように、口付けを交わす。
話したいことはたくさんあるし。
これから先の未来を思ったら、不安でしかないけれど…。
「大好き…」
「セツ…」
ほんの束の間、許される限りの時を。
ふたり身を寄せ合って。
揺るがぬ想いに、酔いしれたいんだ。
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