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ep. 20 急展開①
『…ツ……セツ……』
深い眠りの中、大好きなルーの声で意識は少しずつ浮上していく。
でも、もうちょっとだけこうしてたくて…
オレは瞼を閉じたまま、ルーの胸に頭を預け。
あと5分だけ~…と、甘えるように返す。
そうすると、今度は軽く肩を揺さぶられるんだけど。駄々を捏ねるよう、ぐりぐりと額を押し付けて…ぎゅうっと抱き付いてやった。
「セツ…お願いだから…」
「んん-…やだぁ…もう少しだけぇ…」
ルーが困り果て溜め息吐いても、オレは構わず擦り寄る。どうせなら、このままもっかいイチャイチャしたいなぁ~…とか。
馬鹿なことを考えていたら─────
「ゴホンッ!」
「ぴゃいっっ…!!?」
ルー…のものではない、不自然な咳払いにハッと目を見開き。瞬時に覚醒するオレは…
慌ててルーの胸から離れ、起き上がる。
と……
「…おはようございます、セツ?」
「ぎゃ~ッ!!って…び、ヴィンッ!?…それに、」
みんなも─────…!?
そこには前述 のヴィンを始め…ロロ、ジーナ、アシュまでが勢揃いしており。
思わず悲鳴を上げるオレは、ベッドで隣に寝てたルーと、みんなを交互に見て…
ピシリ、固まった。
「ふふ…セツの看病は、とても情熱的なのだねぇ。」
僕も是非お願いしたいなぁ~と告げるアシュは、笑いを必死で堪えるよう口を抑えて。
その台詞に、ルーはあからさま顔を引き攣らせる。
「いいなぁ~、ボクもセツと一緒にぎゅってしながら寝たいな~。」
「お前…ホント顔の割に、大胆なこと言うよな…」
ロロが指を咥え、じーっとオレを見やれば。
ジーナが真っ赤になりながらツッコミを入れる。
更には、
「え~、ボクだって男だからね?それなりに下心くらいあるよ~!」
ロロがかなり際どいことを、言い始めてしまったので…ルーの顔からは一切の笑顔が消えてしまった。
ヴィンに至っては…
「個人的な事情に口を挟むような、野暮な真似はしたくはありませんが…」
なんだか説教が始まりそうな、雰囲気だったのだけど。
「瀕死状態から目覚めたばかりの身で…負担が掛かるような行為は、お薦め出来ませんね。」
『なっ…!!?』
ついルーと反応が被ってしまったが…
何を勘違いしたのか、ヴィンは無表情で爆弾発言を投下する。
「あらら、もうそんなに愛を深めちゃったのかい?」
最近の若いコは性急だねぇ~なんて。
アシュはわざと爺臭い物言いで以て、からかってくるし。
…極め付きは年少組ふたり。
「ええ~…セツ、ルーのモノになっちゃったの…?」
「泣くなよロロ、こうなることは解ってたんだしさ…」
何やらショックを受け、わーわー騒ぎ出すロロを。ジーナが慰めたりするもんだから…
オレはいたたまれず、つい声を大にして叫んだ。
「なっ、何を勘違いしてんのか知らないけどさっ…」
勢い良く立ち上がったは良いものの…
すぐに口ごもる羽目になるオレ。
や…コイツらが思ってるようなコトは、断じてシてない……まだ。…が、それに近いコトは、結構やっちゃってたなと、思い出してしまったもんだから。
上手く流せばいいものを、単純なオレはつい真っ赤になって俯いてしまい。
どうしよう…焦るオレは助けを求め、チラリとルーファスに視線を送るのだが…
頼もしいかな、ルーは目配せして頷き。
満を持して口を開いた。
「私とセツは、まだ一線を越えてはいない。」
“清い仲だ────”
そう、真顔で宣言され。
オレを含めた全員が言葉を失うのは、もう…
必然でしかなかった。
「るっ、ルーの…バッカやろう~~!!」
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