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②
「セツ…まだ怒っているのか?」
ルーの所為で、あの後は散々だった。
別に…怒ってるワケじゃない。
ただ羞恥心で、まともに話せないだけで…
すまないと何度も謝るルーに、オレはつい冷たい態度を取ってしまっている。
すぐに許してあげれば良かったのだけど。
顔を見ると、意識しちゃうもんだから…
それでツンツンしてたら、
ジーナに「痴話喧嘩か、セツ~?」なんて…また冷やかされるからさ。
結局一日中この調子で。
夕食後にもまた、ルーが謝りに来るのだけど…
「セツ、せめて話を…」
そうしたいのは山々だけど…
ルーの顔を見る度に今朝の事とか、前夜のあの行為を思い出してしまって。
まともに目も合わせられず、オレは俯きがちにスタスタと先を急ぐ。
そんなオレの後ろをついて来るルーは。
諦める様子もなく、何度でも謝罪を口にするのであった。
「べっ…別にもう、怒ってないから…」
足を止めず口先だけで告げても、ルーは納得してくれず。
「ならば何故、一度も私を見てくれないのだ?」
許してくれるなら、目を見てくれなどと…
人の気も知らないルーは、無茶振りを強いてくる。
「ホントだってば…」
ルーはオレが怒って避けてるんだと、勘違いしてんだけど。
こっちはただでさえルーのコト意識しまくりで。
なんていうか…こう、ルーといるとさ。つい好き好きオーラ全開になっちゃって。
そういうの、抑えられなくなっちゃうから…
正直、どう接していいか分からないんだよね…。
今までこんなに本気で誰かのことを、好きだって自覚したことが無かったから…余計にさ。
ルーは特別で。
だからこそ、気持ちが溢れ過ぎてしまうから。
自分でも感情を、コントロール出来ないんだよ…
「とりあえず、ちょっと待ってってば…」
心の準備して、後で話しを聞くからと。
オレは目の前の扉を開く。
それを逃避だと更に勘違いするルーファスは…
扉を手で抑え、オレの行く手を阻もうとするのだけど…
「だからっ、風呂…入るだけだろ…?」
「え……風呂…?」
謝るのに夢中で、オレの目的地を把握していなかったルーは。目を丸くし、扉の向こう…大浴場を認め、固まる。
そんなルーにオレは溜め息ひとつ溢しつつも。
ちょっとだけ、悪戯心が芽生えて…
「それとも…一緒に入りたいの?」
なぁんて、からかうような口調で誘ってみたり。
今朝の仕返しじゃないけどさ。
ルーの天然タラシには、散々振り回されてきたんだし。どうせこんなこと言ったら、慌てちゃうだろ?
だからちょっと困らせてやろうかと、思ったんだけど…
「…………」
「え?ちょ…ルー?」
ところがどっこい、コイツときたら途端に口元押さえ考えて込んでしまい。
予想が外れたオレの方が、動揺させられる始末。
え、まさか本気で?
やや…こっちは冗談のつもりだったし。
それこそ心の準備とか、まだまだなんですけど───…
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