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③
「………いや、やはり止めておこう。」
「へっ…?」
真剣に悩むルーの前でオロオロしてたら、そう告げられて。オレはぽかんと口を開けたまんま、目を丸くする。
「私には、下心が…あるからな。その…平常心を保てる自信が無いから。」
それはつまり、オレと一緒に風呂なんか入ったら。理性がもたずに手を出しちゃうかもよっ…てこと、だよね?
思わず想像しちゃったら、頭ん中がボフリッと沸騰して…オレの顔は、茹でダコみたく真っ赤になってしまった。
「昨日はつい、舞い上がってしまったが…セツのことは大事にしたいと思っているし。余りがっついて嫌われては、困るからな…」
だから自分は外で待っているからと。
ルーは苦笑しながら、廊下へと出て行く。
「もう…」
熱く火照る顔を押さえ、へにゃりとその場に座り込む。
さらっと言ってたけど。
すごいコト言ってたよね、あれは…
(自惚れても、いいのかな…)
想いが通じ合えた自覚はある、が…
なんていうか、メチャクチャ愛されてんのかなって思いたくなる。
あんな風に言われたら、余計にさ…
(でもさ、)
よくよく考えてみれば、こうなる前から結構グイグイ来てなかったか?アイツ…。
昨夜だって、意識が戻ってすぐにキスしてきたし。勢いのまま、最後までされちゃうんじゃないかって…
かなり際どい流れだったとは、思うんだけど。
だったら、一緒に風呂くらいなら入れそうだし?
オレ的には、その…男同士だけど。
一応普通にエッチなコトは、出来るワケだからさ。
ルーにだったら、何されてもいいかも…なんて。
ルーを好きになった時点で、そんくらいの覚悟はあったんだけどなぁ…。
(むしろ、抱かれたい…とかね。)
いやもう流れというか、オレがソッチかな~て自覚もあるし。…てかオレがルーを抱くっていう発想が、そもそも浮かばないというか…。
男同士だから、ナニをアソコに入れちゃうって…
何気に元彼女のアリサちゃんから、無駄に詳しく教えて貰った記憶もあるし…。
…まあ、そういうワケだから。
その時は、他人事のように聞き流してたけれど。
まさか自分が男の人を好きになるだなんて、思いもしなかったから…
(それでも、ルーになら…)
ルーのモノになりたい。
オレにだけ触って、感じて、全部独り占めしてしまいたい。
性欲も前までは、人並み程度だったハズなのに…
今はこんなに貪欲に、欲しがったりしてる。
ここまで変われてしまうだなんて。
ホント、愛の力は偉大だなぁって思うよ。
(いつか…)
その時が、来るのかな?
正直オレは、今すぐルーに求められても、全然構わないけどなぁ…。
だって触れられたいって、今すぐにでも扉の向こうのルーに。言ってしまいたいくらいだし…。
(あ-ダメダメ…ルーはまだ、怪我が治ってないんだから…)
下心全開で邪なコトを考えていたら、バカみたいに身体が火照ってきてしまうから。
オレはその雑念を振り払うべく、いそいそと風呂場へ向かった。
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