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④
翌日、それは予想外の展開だった。
先代神子の施した結界の弱体化、それに伴う瘴気の発生…転じて凶悪化する魔物達によって引き起こされる、被害の増加など。
そして先日の、魔族の王…ジークリッドによる神子屋敷への襲撃。
刻一刻と悪化の一途を辿る最中、
決して遠くはない災厄の時が…いよいよ現実味を帯びてくる。
「では…貴方の力は、ほぼ覚醒していると?」
「たぶん、ね…」
ジークによって、一度は命を落としていたであろうルーファス。
オレはそれを受け入れられず。
神子の力を自らの意思で呼び覚まし、なんとかルーを救うことが出来た。
これは確信というか、勘みたいなもんなんだけど。ある程度の力なら、コントロール出来るような気がするんだよね。
「さすがにルーを治したようには、いかないけど…」
自分の手を見つめながら、ヴィンに向け答える。
はっきりとしたもんじゃないが、自分の内で確かな力を感じとれるから。
「ならば結界の修復も…可能かもしれませんね。」
ふむ、と思案しながら告げるヴィン。
ロロは目を輝かせつつ、オレに抱き付いてくる。
「スゴイよ~セツ、これでみんなを助けられるね!」
「始めはどっか危なっかしくて頼りなかったから、すげえ心配だったけどなぁ~。」
やるじゃんかって、ジーナもニカッと歯を見せながら背中を押してくれた。
実感はまだないけど…
そう言って貰えると、何だか自信が湧いてくる。
「…となると、僕達もいよいよ本腰を入れないとだね。」
いつになく真剣な面持ちのアシュは、問うようにヴィンを見やる。
「ええ…おそらく明日の議会で、何かしら進展が見られるかと。」
それには、オレと守護騎士も出席せよとのお達しで。事前に聞いたヴィンからの話によると、今後の身の振りが決められるのだろう…とのこと。
歴代の神子は覚醒後、増えた瘴気を抑えるために。張られた結界の修復をすべく…それらが点在する場所まで、自らが赴かねばならず。
守護騎士や特級騎士団と共に、遠征するのだそう。
だから当然、それなりの危険を伴うのだが…
「セツは必ず、私が守護してみせるから。」
「ルー…うん、ありがとう。けど無理はしないでね?身体はまだ、万全じゃないんだから…」
「ああ、善処する。」
隣にいるルーが、頼もしげに微笑んでくれるから。オレの不安はすぐに和らいでいくんだ。
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