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⑤
「ボクだって、セツの守護騎士だからね!今度こそ護ってみせるから!」
「うん、ロロも頼りにしてるよ。」
ギュッと抱き付くロロの頭をよしよし撫でてあげたら、任せて!と愛らしくも力強く応えて。
ジーナもアシュもヴィンも、同様に頷いてくれる。
ルーだけじゃない、オレにはみんながいるから…
きっと大丈夫。そんな気さえしてくるから不思議だ。
世界を救おうだなんて大それたことは、おこがましくて言えないけれど。
こうして出会った大切な人達の力になら、なりたいって思えるし。共に支え合えるからこそ、苦しくても前に進んでいられるのだから。
「オレもみんなのために、頑張るよ…」
応えてオレも決意を口にすれば。
ルー達は優しく微笑み返してくれた。
(でも…)
人間達の平穏を、取り戻そうとするならば。
魔族との争いは、避けられないのかもしれない。
そうなったら、またあの男…魔族の王ジークリッドとも。戦わなくちゃいけないって、ことだ。
ルーと対峙した時は、相討ちではあったけど…
ジークリッドは怪我を負っていなくなり、ルーは命を奪われてしまった。
フェレスティナで屈指の実力を誇るルーでさえ、敵わなかった相手だし。向こうにもラルゴや双子のような仲間が、まだ沢山いるかもしれないから…。
「セツ、どうした?」
急に難しい顔して黙ってしまうオレを、ルーが心配して覗き込む。
見上げた先の深緑の瞳は…キラキラと生気を帯び、輝いて見えた。
一度は失ってしまった、その光を…オレはもう二度と失いたくない。
例え魔族の力が脅威であっても、オレに直接戦う術がなくても…何かひとつくらいは、出来ることがあるはず。
だから、
「オレは、大丈夫だよ。」
「セツ…」
にこりと笑ってみせれば、ルーは何か言いたげだったけど。
敢えてそこは何もいわず…そうかとひと言、目を細め笑っていた。
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