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⑩
「こちら側の条件は…ひとつ、期日まで1ヶ月の猶予を与える事。」
「ああ、いいぜ。」
これはルーの体調を考慮し、他にも色々と準備が必要だからってことで。
「決闘って言っても、どうすんだよ?」
「その場所なら……“魔王城”はどうだ?」
ラルゴが指定した場所は初代魔王…────厳密に言うと、初代魔王かどうかは不明らしいけれど。
“魔王”の存在を人々に知らしめた魔族が、初めて建てた『城』のことであり。そこは現在、聖域…結界が施された場所のひとつとなっていて。
結界はまだ健在だから…魔族側にとっては、かなり不利とも言える場所ではあった。
「それと、この決闘に携わるメンツだが…」
まずは神子であるオレと、ジークが指名したルー。
それからジーナ、ロロ、アシュの守護騎士が指名されたが…その中にヴィンが加わることも同意して貰う。
「魔王城までの道のりは遠く険しく、セツ…神子にとっては体力的にも、かなりの負担が想定されます。まだ魔族が信用ならない状況下で、それらを容易に受け入れるのは…」
「なら、魔王城までなら好きにしていいぜ。」
ヴィンが異議を唱えれば、ラルゴはすんなりと騎士団の介入を受け入れて。
更にと、ラルゴは付け足す。
「これは個人的な要望になるんだがよ。森で俺が戦った金髪の騎士も…一緒に連れて来てくれよ。」
「…オリバーさんのことか?」
再確認すると、ラルゴはそうだと答える。
「あの男、なかなか楽しめそうだったからな。ジークのことは言えた義理じゃねぇが…俺もアイツとはまた、戦ってみてぇと思ったんだよ。」
…てことはだ、魔王城の中へはオレ達とオリバーさんを加えた、7人だけで来いってことになるのか…。
「俺達魔族の仲間も、殆どお前らと変わらねぇから。」
「信憑性には欠けますがね…」
「こればかりは信じてくれとしか言いようがねぇな。」
ヴィンがぽつりと毒を吐けば、ラルゴは苦笑するも。さも楽しそうに口角を上げる。
「セツ、今の内容を受け入れてもよろしいですか?」
「…うん。」
ヴィンがオレに最終的な許可を取り、またみんなが頷いたのを認めた上で話を纏める。
「では期日は1ヶ月後。場所は魔王城跡にて決戦の時とします。…これで、相違ありませんね?」
「ああ。んじゃ、俺はそろそろ帰らせてもらうぜ。魔族にとってここは、随分と居心地悪ィからな。」
告げるや否や、ラルゴは早々に立ち去ってしまった。
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