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「こちら側の条件は…ひとつ、期日まで1ヶ月の猶予を与える事。」 「ああ、いいぜ。」 これはルーの体調を考慮し、他にも色々と準備が必要だからってことで。 「決闘って言っても、どうすんだよ?」 「その場所なら……“魔王城”はどうだ?」 ラルゴが指定した場所は初代魔王…────厳密に言うと、初代魔王かどうかは不明らしいけれど。 “魔王”の存在を人々に知らしめた魔族が、初めて建てた『城』のことであり。そこは現在、聖域…結界が施された場所のひとつとなっていて。 結界はまだ健在だから…魔族側にとっては、かなり不利とも言える場所ではあった。 「それと、この決闘に携わるメンツだが…」 まずは神子であるオレと、ジークが指名したルー。 それからジーナ、ロロ、アシュの守護騎士が指名されたが…その中にヴィンが加わることも同意して貰う。 「魔王城までの道のりは遠く険しく、セツ…神子にとっては体力的にも、かなりの負担が想定されます。まだ魔族が信用ならない状況下で、それらを容易に受け入れるのは…」 「なら、魔王城までなら好きにしていいぜ。」 ヴィンが異議を唱えれば、ラルゴはすんなりと騎士団の介入を受け入れて。 更にと、ラルゴは付け足す。 「これは個人的な要望になるんだがよ。森で俺が戦った金髪の騎士も…一緒に連れて来てくれよ。」 「…オリバーさんのことか?」 再確認すると、ラルゴはそうだと答える。 「あの男、なかなか楽しめそうだったからな。ジークのことは言えた義理じゃねぇが…俺もアイツとはまた、戦ってみてぇと思ったんだよ。」 …てことはだ、魔王城の中へはオレ達とオリバーさんを加えた、7人だけで来いってことになるのか…。 「俺達魔族の仲間も、殆どお前らと変わらねぇから。」 「信憑性には欠けますがね…」 「こればかりは信じてくれとしか言いようがねぇな。」 ヴィンがぽつりと毒を吐けば、ラルゴは苦笑するも。さも楽しそうに口角を上げる。 「セツ、今の内容を受け入れてもよろしいですか?」 「…うん。」 ヴィンがオレに最終的な許可を取り、またみんなが頷いたのを認めた上で話を纏める。 「では期日は1ヶ月後。場所は魔王城跡にて決戦の時とします。…これで、相違ありませんね?」 「ああ。んじゃ、俺はそろそろ帰らせてもらうぜ。魔族にとってここは、随分と居心地悪ィからな。」 告げるや否や、ラルゴは早々に立ち去ってしまった。

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