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「はあ~…なんだかスゴイことになっちゃったね。」 一息吐いてから、ロロがぽつりと漏らす。 「けどさ…こんな重大なこと、俺達だけで勝手に決めて良かったのか?」 女王様にも相談するべきだったんじゃ…と、ジーナは首を捻るも。ヴィンは眼鏡を直しながら、しれっと答える。 「陛下ならば問題ないでしょう。寧ろこういった展開が大好物…いえ、心の広いお方なので。」 「いや、めっちゃ本音出てるから…」 ツッコミには一切触れず、ヴィンは続ける。 「事後ではありますが、一応報告はせねばなりませんからね。私はこれから宮殿へ参りますので…」 そう告げるや否や、ヴィンは颯爽と出かけてしまった。 「ホントにこれで、良かったのかな…」 自分で決めたことだけど。 やっぱり不安は拭い切れないから…オレはつい、弱音を吐き出して俯く。 「セツ…」 するとルーが徐にオレの前で跪き、手を取ってきて… 「セツの為、世の為とあらば…私に課せられた責の重みは極めて肝要だろう。だが、私は必ず…お前を救ってみせるから。」 どうか私に護らせて欲しい─────… ルーは敢えて騎士として振る舞い、神子のオレに許しを請う。 「うん…ルーに、オレの全てを託すよ。」 「…ありがたき幸せ。」 オレが告げると、ルーは微笑んで。 手の甲に、誓いのキスを捧げた。 「…となると、決戦に向けて更に高みを目指さなきゃだな~!」 備えあれば憂いなしと、ジーナは意気込んで拳を打ち鳴らす。 「そうか、ならば私も…」 ルーもそれに習って立ち上がろうとするけど。 オレは腕をぐいと掴み、阻止する。 「ダメだよ!ルーはまだ怪我が治ってないだろ!」 目覚めた途端、今も当たり前のようにしてるけど。 命を落とすほどの怪我は、神子の力を以てしても完全に治し切れるものではなくて。 お医者さんが言うには、内臓とか身体の中の損傷がまだ随分残ってるらしいから…本来なら安静にしてなきゃダメだってのに。 オレが心配してもルーは決まって『少しでもセツの傍にいたいんだ』…とか、言うからさ。 困るよね…こういう時は妙に頑なだし。 「私ならば、もう心配いらない。」 「ダメだってば。すぐ無茶すんだから…」 しかし…とそれでも食い下がるルー。 だからといって、オレとて譲る気など微塵も無く。 「ふーん…じゃあ言うこと聞かないなら、オレ…ルーとは絶好するから。」 「えっ…」 ピシャリと宣告すれば、ルーは氷のように固まってしまい。 「これはセツに、一本取られてしまったねぇ。」 アシュは盛大に吹き出して、ルーの肩をポンポンと叩く。 「いざとなったら、オレが代わりに魔王と戦ってやっから~!」 「ジーナ待って~、ボクも行く~!」 じゃあね~と年少組はドタバタしながら。 あっという間に外へと駆け出して行った。 「私にはセツとこの国を護るという、責務が…」 「怪我してたら、勝てるもんも勝てなくなるだろ!」 だからホラ、と告げてオレはルーの腕を引っ張る。 「ど、何処へ行くんだセツ…」 「ルーの部屋だよ。もう一度、治癒魔法を掛けてみるから。」 そう答え、ルーを引き摺って行こうとしたら… 「ふたりとも、くれぐれも怪我に障るようなコトは、しないようにね~?」 ニコニコと、アシュに見送られ。 オレは思わずルーと顔を見合せ…赤面する。 「ちがっ…そんなんじゃないから!」 「ふふ…セツがそうでも、部屋にふたりきりという状況で。果たしてルーの方が…耐えられるのかなぁ?」 「っ…」 アシュに指摘され、何故か目を泳がせるルーに。 オレは更に耳まで真っ赤に染めて… 「だっ…ダメだからなっ!怪我が治るまで、そういうコトすんのっ…」 「え…?」 「アハハッ…もうセツったら、最高…!」 テンパるオレはオレで、壮大な失言をカマし… 案の定アシュは、腹を抱え大爆笑するのであった。

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