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「すまない、セツに負担を掛けてしまって…」 「そんな、負担だなんて…」 オレは否定するのに。 見上げてくるルーは、申し訳なさそうに自嘲してみせる。 「私が至らぬばかりに、お前に無理をさせてしまった。」 「違うよ!ただ少し魔法を使い過ぎて、魔力切れしてるだけだって…ヴィンも言ってたし。それも休んでれば、すぐ治るって話だったから…」 慌ててオレが弁解すると。 ルーは何か思い当たる節があるかのよう、口元に手をやり。 「ふむ…魔力切れ、か…」 ブツブツと独り言で思案するルーに、俺はきょとんとして見下ろす。と… 「それならば、私がセツを…癒してやれるかもしれないな…」 言いつつも、何だか煮え切らないルーは。 ちらりと俺を見上げる。 「え…癒す?ルーって回復魔法、使えたんだっけ?」 確かみんなの中では、ロロくらいしか使えなかったような…その質問にルーは、やはり否定して。 「魔法ではないのだが…そもそも魔力切れとは、自身に宿る魔力量以上のものを酷使してしまった場合に起こる、謂わば反動のようなものでな…」 勿論それは知ってる。 過剰に消費すればするほど、反動も強く。 目眩や発熱などの風邪に似た症状に見舞われたり、更に重篤だと寝込む場合もあるのだとか。 まあ軽い症状なら、基本的に安静にしてさえいれば自然と回復するらしいから。ヴィンからも、しっかり休んでおけ…くらいにしか、言われなかったんだけどね。 だがしかし…魔力切れにはひとつ、なるものが存在するそうで… 「他の誰かから魔力を分け与えて貰えば、症状が抑えられるんだ。」 勿論それは素人には難しく、施すにしてもそれなりの技術が必要で。緊急を要する重篤な場合の手段でしか、本来は用いられないのだが。 「へ~…じゃあルーがオレに、魔力を分けてくれるってことか?」 オレがそう告げると、ルーはまた言葉を濁すのだけど… 「まあ、そうなのだが…」 「なに?もしかしてルーにも負担が掛かったりするの?」 いや…と首を捻り、ルーはじっとオレを見据えたまま。ゆっくりと手を伸ばしてきて。 「ここから…」 ふに、と唇を親指の腹で触れられ…ドキリとする。 「与えるんだ…口で。」 「っ……」 そう言いきるや否や、ルーは一変して物欲しげな瞳で見つめてきて…思わず頬に熱が灯る。 一度射抜かれてしまえば、オレには絶対抗えないので… 「ルーの身体が、平気なら…」 お願い…それは果たしてに対する要求なのか。 オレの心を汲み取るルーは、嬉しそうに目を細めオレの腕を引くと。 「あっ…」 ベッドを軋ませ…ルーの太股にすとんと座らされたかと思えば、ぴったり身体が密着して。 すぐ目の前に、ルーの顔があるから… ちょっと、恥ずかしい…

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