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⑭
「すまない、セツに負担を掛けてしまって…」
「そんな、負担だなんて…」
オレは否定するのに。
見上げてくるルーは、申し訳なさそうに自嘲してみせる。
「私が至らぬばかりに、お前に無理をさせてしまった。」
「違うよ!ただ少し魔法を使い過ぎて、魔力切れしてるだけだって…ヴィンも言ってたし。それも休んでれば、すぐ治るって話だったから…」
慌ててオレが弁解すると。
ルーは何か思い当たる節があるかのよう、口元に手をやり。
「ふむ…魔力切れ、か…」
ブツブツと独り言で思案するルーに、俺はきょとんとして見下ろす。と…
「それならば、私がセツを…癒してやれるかもしれないな…」
言いつつも、何だか煮え切らないルーは。
ちらりと俺を見上げる。
「え…癒す?ルーって回復魔法、使えたんだっけ?」
確かみんなの中では、ロロくらいしか使えなかったような…その質問にルーは、やはり否定して。
「魔法ではないのだが…そもそも魔力切れとは、自身に宿る魔力量以上のものを酷使してしまった場合に起こる、謂わば反動のようなものでな…」
勿論それは知ってる。
過剰に消費すればするほど、反動も強く。
目眩や発熱などの風邪に似た症状に見舞われたり、更に重篤だと寝込む場合もあるのだとか。
まあ軽い症状なら、基本的に安静にしてさえいれば自然と回復するらしいから。ヴィンからも、しっかり休んでおけ…くらいにしか、言われなかったんだけどね。
だがしかし…魔力切れにはひとつ、荒療治なるものが存在するそうで…
「他の誰かから魔力を分け与えて貰えば、症状が抑えられるんだ。」
勿論それは素人には難しく、施すにしてもそれなりの技術が必要で。緊急を要する重篤な場合の手段でしか、本来は用いられないのだが。
「へ~…じゃあルーがオレに、魔力を分けてくれるってことか?」
オレがそう告げると、ルーはまた言葉を濁すのだけど…
「まあ、そうなのだが…」
「なに?もしかしてルーにも負担が掛かったりするの?」
いや…と首を捻り、ルーはじっとオレを見据えたまま。ゆっくりと手を伸ばしてきて。
「ここから…」
ふに、と唇を親指の腹で触れられ…ドキリとする。
「与えるんだ…口で。」
「っ……」
そう言いきるや否や、ルーは一変して物欲しげな瞳で見つめてきて…思わず頬に熱が灯る。
一度射抜かれてしまえば、オレには絶対抗えないので…
「ルーの身体が、平気なら…」
お願い…それは果たして何に対する要求なのか。
オレの心を汲み取るルーは、嬉しそうに目を細めオレの腕を引くと。
「あっ…」
ベッドを軋ませ…ルーの太股にすとんと座らされたかと思えば、ぴったり身体が密着して。
すぐ目の前に、ルーの顔があるから…
ちょっと、恥ずかしい…
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