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「では……」 遠慮なく…とばかりに、ルーファスはオレの頬を包み込み、近づく。 「んっ……」 最初は軽く触れるだけ。柔らかな感触に、オレは無意識にギュッと目を閉じるけど。 僅かに唇を開いた途端、ルーの舌がそろりと咥内へと這わされた。 このキスはあくまで治療の一環なのに。 ルーにされてる行為だと意識すればするほど、ときめかずにはいられないワケで… 「んふっ…ぁ……」 息継ぐそれもつい甘く、意図せずして熱が込もってしまう。 それでも、いつもと違うのは… 口内を抜け、何かがソコから流れ込んで来るのに気付いたから… それがルーの魔力なのは、すぐに理解出来た。 (ああ、今なら分かるかも…) 甘くとろけるキスの中、確かに感じるルーの魔力の波動。それは緩やかに唇から伝わり…オレへと注がれていく。 こんなふうに、魔力を感じ取れるようになれたのも。神子としての力が備わってきた証なのかもしれない。 (なんだか、あったかい…) まるで…ルーそのものを体現するかのような。 与えられる糧は優しく、オレを満たしてくれる。 「はぁ……」 「平気か…?」 離れていくルーの顔を眺め、こくんと頷く。 「なん、かヘンだ…ルーが中に入ってくみたいで…」 大して激しいキスでもなかったのに。 思考は溶かされ、恥ずかしくなる。身体はふわふわして、気持ち軽くなった気がするけど… と、ぼんやりした頭をもたげ見つめていたら。 ルーは何故だか切羽詰まったよう、自身の目元を遮ってしまった。 「その顔は、反則だ…」 「ふぇ…?」 みるみる赤くなるルーにはてな?と、首を傾げたら。更に首筋まで真っ赤に染めて。 「セツ…お願いだから、私がいないところでは絶対に、魔力切れを起こさないでくれよ…」 「え…と、うん…?」 お前のその表情は、誰にも見せられないからと。 ルーに念押しされるけど。 そんなヒドイ顔してたのかなぁ…? いまいち理解出来なかったけど…あまりにルーが必死だったので。曖昧ながらも、とりあえずは頷いておく。 「そんな顔を見せられたら…理性が保てなくなりそうだからな…」 「え……」 一瞬だけ垣間見せる、獣染みた瞳が。 オレを捕らえ、ついドキドキしてしまうけれど。 「いや、セツには負担を掛けたくないし…心配もさせたくはないから…」 だから我慢するんだと、悪戯っぽく告げ…チュッと軽いキスを与えてくるルー。 そう思うなら誘惑しないでよ… お前はムダにカッコ良くて、色気もハンパないんだからさ。オレなんてチョロいから…すぐにコロッとやられちゃうんだぞ? なんなら今のキスだけで、結構その気にさせられちゃってんのに…

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