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⑯
「別に、我慢しなくても…」
「ん…?」
なんでもない!と返し、すとんとルーの肩に顔を埋める。そしたら首筋に触れられて。
そういえば、と…その手は徐に、襟の中へと差し込まれる。
「ひゃっ…な、に…」
我慢するとか言ったクセに…いきなり首筋を触られて。
擽ったさ以上の刺激に、ビクンと身体を跳ねさせていると…耳元に、カチャリと僅かな金属音が届けられた。
「ずっと、気になっていたんだ…」
告げてオレの襟元から、引っ張り出されたのは…指輪が通してあるネックレスであり。
ルーはそれを二本指で挟み、オレの目の前へと掲げる。
「あっ…」
なんだ、と…早とちりだと気付かされ、思わず恥ずかしさが汲み上げてくるオレに。
ルーはその指輪を懐かしむよう、うっとりと眺める。
「皆にからかわれた後、すぐ外してしまったから。残念だなとは、思っていたんだが…」
こうして身に付けていてくれたのだなと。
ルーは顔を綻ばせながら、指輪にも口付けを落とす。
わぁ…なんて気障なことをっ…
なまじ似合っちゃうから、心臓への負荷がヤバいんですけど。
「ご、ごめん…せっかくルーがくれたのに、嵌められなくて…」
オレは嫌でも目立つから、こっそり首に掛けてたワケだけど…。申し訳なく思ってたら…ルーは首を横に振り、告げる。
「そんなことはない。セツはこうして、常に身に付けていてくれたのだから。」
贈って良かったと、ルーは目を細め微笑んだ。
「オレだって、すごく嬉しかったよ…ルーがオレのために、プレゼントしてくれた物だから…」
本当は堂々と指に嵌めたかった。
けれどまだ、その勇気がなくて…。
それでもいつか必ず、この指輪をちゃんと嵌めて。誓える時が来たなら…
「もし、その時が来たら…もう一度、ルーが嵌めてくれる?」
本当の意味を込めて、この指に。
あの時はまだ、好きだって言えなかったから。
今度はちゃんと。
じっとルーを見つめ、懇願すれば。
すぐに嬉しそうに微笑まれて。
「必ず…約束しよう。」
そうして誓いのキスで以て、ルーファスは応えてくれたんだ。
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