245 / 423

「んじゃ、ルーがひとりで待ってることだし。とっとと帰ってやろうぜ~!」 会議室を出たところで、ジーナが背伸びをしながら告げる。 「だね~セツと一緒にいられなくて、すっごく寂しそうだったもんね~。」 つられてロロは苦笑して。 オレも出かける直前のルーを思い出し、くすりと顔を緩ませていると… 「セツ殿!」 「あ、オリバーさん…」 お疲れ様ですと挨拶すると、爽やかに微笑み返される。 「セツ殿、体調は如何ですか?ルーファスは…此方へ来られなかったようですが…」 ジーク襲撃を知ってか、オリバーさんはなんともやるせない表情を浮かべながらオレに問う。 「オレは大丈夫ですよ!ルーはまだ、怪我が治りきってないので…」 無茶ばかりするから留守番させたんだと、説明すれば。オリバーさんは少し緊張を緩め、笑ってくれた。 「そうでしたか…ならばルーファスも、大事なさそうですね。」 安心しましたと告げるものの、すぐに瞳を曇らせるオリバーさん。 また魔族の襲撃に立ち会えなかったから…もしかすると責任を感じ、気にしているのかもしれない。 そんなことを考えながら、黙ってオリバーさんを見上げていたら。彼も察したのか、バツが悪そうに後ろ髪をガシガシと掻き上げる。 「申し訳ありません…特級騎士の団長でありなが、セツ殿を守護するどころか…この有り様で…」 「オリバーさん…」 しんみりしてしまった空気を悟り、アシュがジーナとロロを促し離れて行くのを認めて。 オレはオリバーさんに向き直ると、おずおずと口を開いた。 「そんなことないです。貴方には、いつも助けてもらってるじゃないですか…」 初めて公に謁見した時もそう。 グリモア達の暴言を一番最初に止めようとしてくれたのは、オリバーさんだったんだし…。 神子のことを調べに神殿へ行った時も、護衛を買って出てくれたり。一緒に色々と調べてくれたりもしたから。 「ですが…セツ殿の身に危険が及ぶ度、私は何も出来ぬまま…」 自らを責めるオリバーさんは、悔しげに俯いてしまい。オレは何とか励まそうと、思わず彼の手を取って握る。 「オリバーさんは団長さんだから、色々と責任とかあるし…重圧とかも相当だと思います。それでも、」 その誠実で、分け隔てなく気さくに接してくれる人柄もだけど。騎士として戦う勇ましさにも。 「オレは…救われてますから。」 それにオリバーさんは、ラルゴから個人的な指名を受けたのだし。決戦の場へも共に赴く、仲間なのだから。 「神子として、オレも精一杯頑張りますから。オリバーさんも神子の…オレの騎士として。一緒に戦ってくれませんか…?」 議会で話し合ったから、もう承知の上だけど。 直接お願いしたかったから。 まっすぐ真剣な眼差しでオレを見つめる彼は、一度瞑目した後ふわりと笑って。 「是非…セツ殿のお傍にて、私に挽回する期をお与え下さい。」 騎士の流儀に従い、誓いを立てるよう優雅な所作で応えてくれた。

ともだちにシェアしよう!