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③
「んじゃ、ルーがひとりで待ってることだし。とっとと帰ってやろうぜ~!」
会議室を出たところで、ジーナが背伸びをしながら告げる。
「だね~セツと一緒にいられなくて、すっごく寂しそうだったもんね~。」
つられてロロは苦笑して。
オレも出かける直前のルーを思い出し、くすりと顔を緩ませていると…
「セツ殿!」
「あ、オリバーさん…」
お疲れ様ですと挨拶すると、爽やかに微笑み返される。
「セツ殿、体調は如何ですか?ルーファスは…此方へ来られなかったようですが…」
ジーク襲撃を知ってか、オリバーさんはなんともやるせない表情を浮かべながらオレに問う。
「オレは大丈夫ですよ!ルーはまだ、怪我が治りきってないので…」
無茶ばかりするから留守番させたんだと、説明すれば。オリバーさんは少し緊張を緩め、笑ってくれた。
「そうでしたか…ならばルーファスも、大事なさそうですね。」
安心しましたと告げるものの、すぐに瞳を曇らせるオリバーさん。
また魔族の襲撃に立ち会えなかったから…もしかすると責任を感じ、気にしているのかもしれない。
そんなことを考えながら、黙ってオリバーさんを見上げていたら。彼も察したのか、バツが悪そうに後ろ髪をガシガシと掻き上げる。
「申し訳ありません…特級騎士の団長でありなが、セツ殿を守護するどころか…この有り様で…」
「オリバーさん…」
しんみりしてしまった空気を悟り、アシュがジーナとロロを促し離れて行くのを認めて。
オレはオリバーさんに向き直ると、おずおずと口を開いた。
「そんなことないです。貴方には、いつも助けてもらってるじゃないですか…」
初めて公に謁見した時もそう。
グリモア達の暴言を一番最初に止めようとしてくれたのは、オリバーさんだったんだし…。
神子のことを調べに神殿へ行った時も、護衛を買って出てくれたり。一緒に色々と調べてくれたりもしたから。
「ですが…セツ殿の身に危険が及ぶ度、私は何も出来ぬまま…」
自らを責めるオリバーさんは、悔しげに俯いてしまい。オレは何とか励まそうと、思わず彼の手を取って握る。
「オリバーさんは団長さんだから、色々と責任とかあるし…重圧とかも相当だと思います。それでも、」
その誠実で、分け隔てなく気さくに接してくれる人柄もだけど。騎士として戦う勇ましさにも。
「オレは…救われてますから。」
それにオリバーさんは、ラルゴから個人的な指名を受けたのだし。決戦の場へも共に赴く、仲間なのだから。
「神子として、オレも精一杯頑張りますから。オリバーさんも神子の…オレの騎士として。一緒に戦ってくれませんか…?」
議会で話し合ったから、もう承知の上だけど。
直接お願いしたかったから。
まっすぐ真剣な眼差しでオレを見つめる彼は、一度瞑目した後ふわりと笑って。
「是非…セツ殿のお傍にて、私に挽回する期をお与え下さい。」
騎士の流儀に従い、誓いを立てるよう優雅な所作で応えてくれた。
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