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「ふふ…頼りにしてますからね!」 「ご期待に添えるよう、全身全霊で以てセツ殿を守護させて頂きますから。」 互いに笑みを溢せば、オリバーさんの表情も清々しく晴れ渡り。 「じゃあ、オレはこれで。ルーもひとりで退屈してると思うんで…」 「あっ…」 オレがペコリと挨拶し、アシュ達の元へ行こうとすると。オリバーさんは引き留めるよう、声を漏らして。 歩を止め、なんだろうかと目線だけで問い掛ける。と… 「…陛下が、仰っていたことなのですが…」 「え…?」 首を傾げると、オリバーさんは言いにくそうにしながらも続ける。 「その、聞こえてしまいまして…あれは、」 本当なのですか…と、さっきとは違った哀愁を馳せ問うオリバーさん。 「聞こえたって…」 彼が言うには、アリシア様がオレだけに小声で話してたことが、全て聞き取れてしまったそうで…。 さすがは最強クラスの騎士団長様は格が違───いや、そうじゃなくてだ。 アリシア様は敢えて遠回しに言ってはいたけども。オリバーさんなら、勘が良さそうだし大人だし。色々悟られてしまっても…おかしくないかもしれない。 「えっと……」 彼が何に気付き、何を問い掛けているのかが計り知れず言いあぐねているオレは。 おいそれと答えることも出来ず、真っ赤になって項垂れるしかなく… すると今度はオリバーさんの方から、ぎゅっと手を握られる。 「セツ殿、私はっ…」 「オリバーさん…?」 じっと整った顔で見つめてくるオリバーさんは、その熱っぽい緑色の眼差しと相まって。 なんとなく…アイツに似た雰囲気と重なり、一瞬ドキリとしてしまい。 手を取られたまま、何故だか動けずにいたら… 「ルー、ファス…」 何故かオリバーさんがその名を口にし、更に胸が熱くなって。 「え……あっ────」 間もなくオレの身体は、後ろに強く引っ張られ… 弾かれて、オリバーさんの手が離されていく。 「えっ?……る、う…?!」 そうしてオレは今、この場にいるはずのないルーファスの腕の中に、納められてるわけだが… 状況が呑み込めないオレは、身体も思考もピシリと固まってしまうのだった。

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