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④
「ふふ…頼りにしてますからね!」
「ご期待に添えるよう、全身全霊で以てセツ殿を守護させて頂きますから。」
互いに笑みを溢せば、オリバーさんの表情も清々しく晴れ渡り。
「じゃあ、オレはこれで。ルーもひとりで退屈してると思うんで…」
「あっ…」
オレがペコリと挨拶し、アシュ達の元へ行こうとすると。オリバーさんは引き留めるよう、声を漏らして。
歩を止め、なんだろうかと目線だけで問い掛ける。と…
「…陛下が、仰っていたことなのですが…」
「え…?」
首を傾げると、オリバーさんは言いにくそうにしながらも続ける。
「その、聞こえてしまいまして…あれは、」
本当なのですか…と、さっきとは違った哀愁を馳せ問うオリバーさん。
「聞こえたって…」
彼が言うには、アリシア様がオレだけに小声で話してたことが、全て聞き取れてしまったそうで…。
さすがは最強クラスの騎士団長様は格が違───いや、そうじゃなくてだ。
アリシア様は敢えて遠回しに言ってはいたけども。オリバーさんなら、勘が良さそうだし大人だし。色々悟られてしまっても…おかしくないかもしれない。
「えっと……」
彼が何に気付き、何を問い掛けているのかが計り知れず言いあぐねているオレは。
おいそれと答えることも出来ず、真っ赤になって項垂れるしかなく…
すると今度はオリバーさんの方から、ぎゅっと手を握られる。
「セツ殿、私はっ…」
「オリバーさん…?」
じっと整った顔で見つめてくるオリバーさんは、その熱っぽい緑色の眼差しと相まって。
なんとなく…アイツに似た雰囲気と重なり、一瞬ドキリとしてしまい。
手を取られたまま、何故だか動けずにいたら…
「ルー、ファス…」
何故かオリバーさんがその名を口にし、更に胸が熱くなって。
「え……あっ────」
間もなくオレの身体は、後ろに強く引っ張られ…
弾かれて、オリバーさんの手が離されていく。
「えっ?……る、う…?!」
そうしてオレは今、この場にいるはずのないルーファスの腕の中に、納められてるわけだが…
状況が呑み込めないオレは、身体も思考もピシリと固まってしまうのだった。
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