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「セツも、いよいよだな…」 「うん……」 治癒も終わり、ベッドの端に座るルーの隣に腰を下ろす。何気なく肩が触れ合う距離に落ち着くと、自然と手が重ねられ…指を絡めた。 「初めての儀式だからね…アリシア様も、すっごく張り切ってるって。」 やはりそれは荘厳たるものだから、参列者は選ばれた者のみで粛々と執り行うとは言われたけど。 神子初の晴れ舞台ということで…アリシア様は、別の意味で盛り上がってるんだと。呆れながら話してたのは、勿論…ヴィンである。 「ふふ…儀礼用のセツの衣装も、早々に手配していたそうだな。」 「あはは…もう嫌な予感しかしないけどね~。」 いつぞやの、ダンスパーティーの件があるからなぁ~。また女性物のドレスとかじゃなきゃいいんだが…。 「セツ自ら申し出たと聞いた時は、驚いたが…」 大丈夫か?と、ルーは憂いを含んだ視線だけで問う。 そういうところは出会った頃から変わらず、オレのことを良く見てるんだなぁって感心させられる。 「ん…勢いで言ったようなもんだから、自信は全然ないけどね。試してみる価値は、あるのかなって…。」 オレの発言で、今みんなが動いてくれている。 儀式とか改めて言われると、本音は神子というプレッシャーで今にも押し潰されてしまいそうだ。 弱音なんて吐いてる場合じゃないから、みんなの前では平静を装ってはいたけれど…。 ルーにだけは、素直に甘えていたくて。 肩に頭を預けたら、繋がれた手をきゅっと握ってくれて。ルーもオレの髪に擦り寄ってきた。 「こればかりは、何もしてやれないからな…」 それでも傍にいるからと、優しい囁きが耳元に響く。 「ルーがいてくれるだけで、充分だよ…。」 こんな風に甘やかしてくれるなら、なんだって頑張れるから。オレからも擦り寄ったら、ルーは額に口付けを落としてくれた。

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