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⑧
「はぁ……」
「少し疲れたか?」
オレが息吐くと、ルーは顔を覗き込んでくる。
ルーの治療は怪我が酷い分、魔力の消耗も大きく。オレもまだ万全じゃないからか、すぐ魔力切れの症状が出ちゃうんだよね。
神子の力も目覚めたばかりだから、力が安定してないのかもって…ヴィンも言ってたっけ。
「ならばまた、魔力を分けようか?」
問うルーの表情は、心配する中に少しだけ色を含ませ…問われたオレ自身も途端に期待を馳せ、見上げる。
「ん、お願い…」
建前は魔力切れの荒療治。
本音は────…お互い言わなくても解ってるから。
ドキドキしながら、ルーの顔が近付くのを待ちわびる。肩を抱き寄せられ、ルーの身体がこちらに傾けられたなら…
「…んっ……」
唇は重なり、すぐに深く舌が絡められた。
くちゅりと静寂な夜に響く水音が、なんだか生々しい。
「はぁ…ン……」
治療と謳いつつ、始めから甘くとろけるようなキスを施すルーファス。
同時に注がれる魔力の熱量も相まって…
オレの身体はふわふわと、夢心地に酔いしれていった。
「るっ……んンッ…」
キスだけでも充分満たされるはずなのに、なんだか物足りなくて。ギュッと首に抱き付いたら、すとんとベッドへと押し倒される。
そうして見下ろしてくるルーは、ちょっとだけ悪い顔をしていて…
「セツ…少し触れても、いいか…?」
獣が唸るみたく掠れたルーの声音に、心を鷲掴みされ。ゴクリと喉を鳴らすオレは、忠実に欲へと従って…
「いいよ…」
潔く、身を捧げるんだ。
「ンンッ…ぁ……」
ちゅっとリップ音を鳴らし、キスを与えられて。
オレの首筋を甘噛みするルー。まるで食べられてるみたいなソレに、思わず声が漏れ出る。
「あ……やッ……」
次には強く吸い付かれ、今度は擽ったさよりも別の感覚に頭は痺れていき…オレの身体はビクビクと、大袈裟なぐらい震え出す。
その行為が二度三度と繰り返されたなら。
首筋の辺りに、くっきりとした熱が刻み込まれていった。
「セツ……」
吐息混じりに名を呼び、オレの喉元から鎖骨の方へ二本指を這わせるルーは。
更に衣の中も暴きたいと訴えるかのよう、しっとりと肌を彷徨い…オレの理性を掻き乱す。
「ここにも、触れたい…」
「…ッ…あ……」
告げてオレの返事も待たず、ゆっくりと部屋着のボタンを外していき、はだけさせる。…と、露になった胸元に視線を釘付けるから…さすがに恥ずかしくて。
オレは身を捩り、顔を叛けた。
「あんま、見るなよっ…」
大した身体じゃないし、色白なの何気にコンプレックスだし…。オレが口元を腕で隠し、羞恥に駆られていると。ルーはそんなことはないって、指で肌をなぞり始める。
「セツは本当に、綺麗だ…」
ここも、ここも。
辿る箇所全てがそうだと、慈しむよう口付ける。
「いう、なッ……ああっ…!」
オレの性癖を擽るルーの男らしい声も、指と唇で与えられる快感も…全てがオレを惑わせ。
まるで歓喜するかのように、熱っぽい声が口から勝手に溢れ出す。
恥ずかしいから、やめて欲しいのに。
身体は正直に、もっと…もっとって。厭らしく、求めてるみたいだ…。
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